阿刀田館長が、館長連続講座「短編小説の楽しみ」の第6回講義を行いました。
今回の講義では江戸川乱歩の作品「押絵と旅する男」を取り上げました。
戦前には単なる謎解きとして低俗なものとされていた探偵小説は、江戸川乱歩の登場により戦後には広く受け入れられるようになったと話しました。
(話をする館長の様子)
今回取り上げた「押絵と旅する男」を幻想小説の名作と評し、ありえない事柄を「あってもいいな」と思わせるのが作者の力量であると語りました。
阿刀田館長はミステリーにめぐりあったことを人生の快事と考えていると話し、ミステリーは「人生について深く考えさせるものではないが、とにかく楽しめるもの」であると語りました。
また、謎解き本位の「探偵小説」と、松本清張を代表する「社会派推理小説」の違いについても触れ、推理小説の特性を考えたときには、謎解き本位の作品の方が「本格推理」といえるのではないかとも話しました。
(会場の様子)
今回が連続講座の第三期最終回となり、出席回数を満たした受講者には修了証が配布されました。