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名誉館長ギャラリー

 阿刀田館長が、館長連続講座「短編小説の楽しみ」の第6回講義を行いました。
 今回の講義では江戸川乱歩の作品「押絵と旅する男」を取り上げました。

 戦前には単なる謎解きとして低俗なものとされていた探偵小説は、江戸川乱歩の登場により戦後には広く受け入れられるようになったと話しました。

(話をする館長の様子)

 今回取り上げた「押絵と旅する男」を幻想小説の名作と評し、ありえない事柄を「あってもいいな」と思わせるのが作者の力量であると語りました。

 阿刀田館長はミステリーにめぐりあったことを人生の快事と考えていると話し、ミステリーは「人生について深く考えさせるものではないが、とにかく楽しめるもの」であると語りました。
 また、謎解き本位の「探偵小説」と、松本清張を代表する「社会派推理小説」の違いについても触れ、推理小説の特性を考えたときには、謎解き本位の作品の方が「本格推理」といえるのではないかとも話しました。

(会場の様子)

 今回が連続講座の第三期最終回となり、出席回数を満たした受講者には修了証が配布されました。

 阿刀田館長が、館長連続講座「短編小説の楽しみ」の第5回講義を行いました。
 今回の講義では谷崎潤一郎の作品「お艶殺し」を取り上げました。

会場の様子(会場の様子)

  阿刀田館長は、谷崎潤一郎について、広範な知識、豊かで抒情性溢れる文章はだれもが高く評価しており、作風にもいろいろな変化が見られる。ときには"思想なき芸術家"などと評されることもあったが、日本文学を代表するユニークな作家であることは確かである、と語りました。

話をする館長の様子(話をする館長の様子)

 また、谷崎の作品の特徴として「女を支配したと思ったところが、最終的には女に支配される男」という形があることを挙げ、今回取り上げた「お艶殺し」について、初期の作品で代表作ではなく、名作とは評しがたいところもあるが、谷崎の特徴をナイーブに示していておもしろい作品である、と評しました。

平成27年2月15日(日)、「やまなし読書活動促進事業」サードステージが行われました。
13:30から、「贈りたい本大賞」の表彰式、14:00から「ビブリオバトル」、15:10から「阿刀田慶子さんの朗読会」と、盛りだくさんのイベントに、延べ約500名の方が参加してくださいました。

これで、本年度の「やまなし読書活動促進事業」もほぼ終わりました。
ご協力いただいたすべての皆様に感謝申し上げます。

なお、平成27年3月22日(日)に、「贈りたい本大賞を語る」と題し、女優の宮崎美子さんをお招きして、シンポジウムを予定しております。
2月22日(日)から、参加の受け付けを開始しますので、ぜひご参加ください。

表彰式の様子(クリックすると大きい画像で見ることができます)

表彰式の様子1 表彰式の様子2


ビブリオバトルの様子(クリックすると大きい画像で見ることができます)

ビブリオバトルの様子1 ビブリオバトルの様子2


朗読会の様子(クリックすると大きい画像で見ることができます)

朗読会の様子 朗読会の様子2

平成27年2月14日(土)18:30から、「やまなし読書活動促進事業」の一環として、「ワインと本と作者と」の第1回が、山梨県防災新館1階「オープンカフェまるごとやまなし館」で開催されました。
阿刀田高館長を囲んで、約40名の「阿刀田フリーク」がワインと片手に、楽しい時間を共有しました。
参加者には、阿刀田館長の最新刊「アンブラッセ」のサイン本が手渡されました。

当日の様子(クリックすると大きい画像で見ることができます)

ワインと本と作者と1 ワインと本と作者と2

 阿刀田館長が、館長連続講座「短編小説の楽しみ」の第4回講義を行いました。
 今回の講義では大江健三郎の作品「飼育」を取り上げました。

(話をする館長の様子)

 阿刀田館長は、大江健三郎の作品について、茫洋としたものとクールな理性の二面性を持ち、抽象画や音楽のようであり、解釈をするというよりも読者が汲みとる文学であると評しました。
 また、特に後期の作品にはわかりにくいところがあり、後期の作品を理解するためには前期の作品についての理解が必要だとも語りました。

(会場の様子)

 今回取り上げた「飼育」について、文明の持つ偽善性をえぐり出した作品であるが、それだけの作品ではないとし、この作品が影響を受けたサルトルの実存主義についても話しました。また、「飼育」に限らず「におい」の描写に敏感な作家であり、それによって独特のリアリティが生まれているとも語りました。

 阿刀田館長が、館長連続講座「短編小説の楽しみ」の第3回講義を行いました。
 今回の講義では井上靖「楼蘭」を取り上げました。

(会場の様子)

 阿刀田館長は井上靖について、この50年位の中では非常に力強い作家であった、と評し、「楼蘭」は主人公すらわからない不思議な小説で、事実にいろいろな創作を混ぜて書いている構造がすばらしい、と語りました。

(話をする館長の様子)

 「小説とは何か」ということについて、おもしろい話をきかせることであり、「ここに人生がある、人間がいる」と感じさせるものだ、と語りました。また、これまでは作者側から考えられた意見だったが、作者がどうあろうと、読者が「どう受け取るか」「何をくみ取るか」という視点も大切ではないかとも話しました。

 11月28日敷島総合文化会館で開催された山梨県図書館大会において、「ことばの力と読書」と題して山梨県立文学館の三枝昻之館長と阿刀田館長の記念対談が行われました。

 阿刀田館長が俳句、和歌を詠む小説家は文章がうまく、文章に切れ味があると話すと、三枝館長も村岡花子は翻訳家のイメージがあるが、出発は歌人であり、散文を書く際に短い言葉のトレーニングが活きていると語りました。

(対談の様子)

 対談に先立って行われた三枝館長の講演「ことばの力を養う」についてのお話や、三枝館長自身の幼少期の読書体験についてのエピソードなども交えながら、ことばの持つ独特の力についての考えがそれぞれから語られました。

 また、阿刀田館長は平成27年の歌会始のテーマが「本」となったことに触れ、どのような歌が選ばれるのかが楽しみだと語りました。

(会場の様子)

 11月11日(火)、やまなし読書活動促進事業セカンドステージとして、数学者で作家、お茶の水女子大学名誉教授の藤原正彦氏の講演「祖国とは国語」が行われ、阿刀田館長が講演後のトークセッションに登壇しました。

 

(講演をする藤原氏の様子)

 講演で藤原氏は、現在の初等教育における英語重視の方針についてユーモアを交えつつ歯切れよい言葉で批判し、国語こそ教育の基礎、国語を学び、語彙を増やすことが教養を高めることで、それには読書が欠かせないと強調されました。

 また、「祖国」とは領土でも民族でもなく国語(母国語)のことで、その中には固有の文化や伝統が生きており、グローバリズムが主流となっている今こそ、祖国を意識し、ローカリズムを見直すべきであるとのお話もありました。

(会場の様子)

 続くトークセッションでは、館長の質問に答える形で、藤原氏から、ご自身が大学で行っていた読書ゼミのお話がありました。学生に書かせた文章のどこか良い点を見つけて必ずほめる、そうすることで学生は変わってきたとの体験談は、館長にとっても大変興味深いもので、「素晴らしい実践」との感想を述べ、直木賞受賞の際、藤原氏の父、新田次郎氏からほめてもらったことが意外で、うれしかったとの思い出も語りました。

(トークセッションの様子)

 阿刀田館長が、館長連続講座「短編小説の楽しみ」の第2回講義を行いました。

 今回の講義では向田邦子の作品「春が来た」を取り上げました。

(会場の様子)

 阿刀田館長は、向田邦子について、テレビから出た人で人の心をつかむのがうまく、小説家としてデビューする前から熱狂的なファンがいた作家であったと語りました。また、比喩の巧みな作家であり、向田作品が比喩使用の上限といえるとも話しました。

(講義をする館長の様子)

 小説におけるモチーフとは、「この小説、何が言いたいのか」の"何が"にあたるものだとし、向田作品は「庶民の生活はこんなものだが、それでもひとそれぞれの思いがある」ということをモチーフにしており、よくある日常の話題を取り上げているが視点がユニークである、と評しました。

 山梨県立図書館で「阿刀田館長と大学生の集い」が開催されました。 

 県内の7大学・短大から参加した8人の大学生と「好きな本のジャンル」「読書との関わり、読書のメリット」「電子書籍と紙の本」という3つのテーマで意見を交わしました。 

 意見交換の中で阿刀田館長は「読者として、本との関わりは自由であることが大切」と語りました。

(意見交換の様子)