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2015/1/17 館長連続講座(第4回)が行われました。

 阿刀田館長が、館長連続講座「短編小説の楽しみ」の第4回講義を行いました。
 今回の講義では大江健三郎の作品「飼育」を取り上げました。

(話をする館長の様子)

 阿刀田館長は、大江健三郎の作品について、茫洋としたものとクールな理性の二面性を持ち、抽象画や音楽のようであり、解釈をするというよりも読者が汲みとる文学であると評しました。
 また、特に後期の作品にはわかりにくいところがあり、後期の作品を理解するためには前期の作品についての理解が必要だとも語りました。

(会場の様子)

 今回取り上げた「飼育」について、文明の持つ偽善性をえぐり出した作品であるが、それだけの作品ではないとし、この作品が影響を受けたサルトルの実存主義についても話しました。また、「飼育」に限らず「におい」の描写に敏感な作家であり、それによって独特のリアリティが生まれているとも語りました。