ホーム > 阿刀田名誉館長の部屋 > 名誉館長ギャラリー

名誉館長ギャラリー

平成28年3月19日(土)午後2時から、イベントスペースにおいて、「小説家であること」をテーマに「阿刀田館長&小池真理子さんトークショー」を開催しました。
プライベートなお話も交えながら、デビュー当時や各賞の選考、受賞にまつわるお話、作家としての心構え、小説に込めた思いなどを語り合っていただきました。
お二人の温かな人柄そのままの雰囲気で、参加者もリラックスして楽しんでいました。
 阿刀田館長が館長連続講座「短編小説の楽しみ、今でしょ」の第6回講義を行いました。今回の講義では、阿刀田館長自身の作品「めぐりあいて」を取り上げました。
 
 阿刀田館長は小説家になる以前をふりかえり、肺結核の療養所で欧米の短編小説を読みあさった体験が後に役立ったことや、小説家になろうと考えたのは30代の半ばを過ぎてからで、若いころの習作は少なく、「読んでいれば書ける」を実践したようなところはある、などと話しました。

話をする館長の様子
(話をする館長の様子)
 
 今回取り上げた「めぐりあいて」について阿刀田館長は、紫式部の"めぐり逢ひて~"の歌が恋の歌ではなく雑歌とされていることへの違和感がきっかけとなり、そこから知的エリート女性の屈折した心理に思いをはせ、それを現代女性に当て込んでみた作品で、今まで900近く書いてきた短編の中で「その中から50選べ」と言われたら、この作品を入れるだろうと思うほど、思い入れがある作品でもあると語りました。
 
会場の様子
(会場の様子)
 
 今回が連続講座の第四期最終回となり、出席回数を満たした受講者には修了証が配布されました。

 阿刀田館長が館長連続講座「短編小説の楽しみ、今でしょ」の第5回講義を行いました。今回の講義では、井上ひさしの作品「あくる朝の蝉」を取り上げました。

(会場の様子)

 阿刀田館長は井上ひさしとの出会いは国立国会図書館勤務時代までさかのぼること、井上ひさしがペンクラブの会長だったころに阿刀田館長が4年間補佐役を務めたことなどを通して信頼関係を築いてきたことを話しました。また、原稿が遅く、舞台の幕が開かないことが生涯で10回あったことに触れ、周囲への配慮が出来る人だったが、なぜ原稿を落とすのかが不思議だったと語りました。

(話をする館長の様子)

 井上ひさしの作品について阿刀田館長は、人物のリアリティを演じる役者に委ねる部分が大きい戯曲のように、人物をパターンで書くようなところがないわけではないが、今回取り上げた「あくる朝の蝉」では、人物がパターンではなく生身の人間として描かれていると評しました。

 阿刀田館長が館長連続講座「短編小説の楽しみ、今でしょ」の第4回講義を行いました。今回の講義では、森絵都の作品「風に舞いあがるビニールシート」を取り上げました。

(話をする館長の様子)

 阿刀田館長は、森絵都は小学校高学年から中学生くらいを対象とした児童文学を執筆している作家で、この作品は、ほとんど初の大人向け作品集で、直木賞受賞作であると紹介しました。また、今後もっと大きな飛躍ができると思って期待しており、3年後、5年後に注目してほしい作家であると語りました。

(会場の様子)

  「風に舞いあがるビニールシート」は短編小説としての成長小説であり、素朴な人間の感情の部分が描かれていて、平和な日本に暮らす、特に若い人に読んでほしい小説であると話しました。

 阿刀田館長が館長連続講座「短編小説の楽しみ、今でしょ」の第3回講義を行いました。 今回の講義では、山本周五郎の作品「柘榴」を取り上げました。

(話をする館長の様子)

 阿刀田館長は山本周五郎について、どういうものを小説のモチーフとするか執筆する中で、自分の中で熟成させ、深い作品を作るようになった作家であると語りました。

 また、「柘榴」について女性視点で語っており、女が主人公の作品のようでありながら、男を主人公にした小説だと思うと話し、男女の愛は心の問題になりがちだが、関係の根底には肉体への欲望、性があり、上手に書かないと品がなくなってしまう。本作はそこをうまく描いていて、鮮やかであり、きれいである。「柘榴」が象徴的に使われていると話しました。

(会場の様子)

 

 阿刀田館長が館長連続講座「短編小説の楽しみ、今でしょ」の第2回講義を行いました。
  今回の講義では、村上春樹の作品「ハナレイ・ベイ」を取り上げました。

  阿刀田館長は村上春樹について、新しい知識を貪欲に吸収し、良い感性で若い人に訴えかえる力を持っている。時代の風潮をとらえ、表現するセンスを持った作家であると語りました。

会場のの様子

(会場の様子)

 「ハナレイ・ベイ」は、最初の2、3行で引き込まれて最後まで読んでしまう力がある。主人公サチの人間性、人生が巧みに描かれていて、登場する2人のサーファーを含め、生き生きとした小説で、設定描写の光る作品である、と評しました。

話をする館長の様子

(話をする館長の様子)

 阿刀田館長は、村上春樹の長編作品には分かりにくいものもあるが、短篇には気のきいた、面白い作品があるとし、「ハナレイ・ベイ」が収録されている『東京奇譚集』は、村上春樹入門としておすすめであると話しました。

  阿刀田館長が館長連続講座「短編小説の楽しみ、今でしょ」の第1回講義を行いました。
 今回の講義では、重松清「母帰る」を取り上げました。

 重松清について阿刀田館長は、文章が確かで、人間観察力があり、現代社会の問題点をみる目がある優れた作家であると評しました。また、作家として登場した当初から、優れた作家であると確信していた、と話しました。

話をする館長の様子(話をする館長の様子) 

 阿刀田館長は、クリエーションの方法には、「古典にそ(沿)う」「古典に反する」「別次元を考える」、という3つの方法があると話し、「母帰る」は、菊池寛作「父帰る」とは、「反対」でもあり「そうても」いる、発展形ともいえる微妙な作品であり、的確なリアリティをもっている作品である、と評しました。

 また、「母帰る」は、最初の2、3ページで登場人物と状況がわかる、プレゼンテーションが確かな作品で、会話のやり取りで人物像が見事に表現され、最初のプレゼンテーションが結末にうまくつながっている、と語りました。

 8月29日(土)に館長出張トークが甲斐市立竜王図書館で開催され、「読書と夢と創造力」と題して館長が大いに語りました。

 作家としての出発点となった自身の青年時代を語りながら、「モチーフ」の重要性、物事をとらえる際の独自性の大切さについて、ユーモアを交えつつ教えていただきました。

 「作家になるために大切なことは?」との質問に、焦らずに、強い気持ちを持ち続けることをアドバイスした館長の温かさが、参加者全員の心に届いた講演会でした。

 (話をする館長の様子)

8月7日(土)、甲府市教育研究協議会夏季全体集会において、
阿刀田館長が「近い道 遠い道」と題し、アイメッセにて講演を行いました。

講演の様子

講演の様子

7月12日(日)に館長出張トークが開催されました。

話をする館長の様子(話をする館長の様子)


 「やまなし読書活動促進事業」の関連事業として、韮崎市立図書館で行われた今回は、「読書保険の勧め」と題して館長が講演しました。
 子どもの頃の思い出や、若い頃の経験を語った上での「読書の習慣を若い頃に身に付ければ後の自分の人生に実りをもたらしてくれる」という館長の言葉には、参加された皆さんが納得していました。


 思わずクスッと笑ってしまう館長の温かなユーモアに、1時間30分があっという間に経ってしまいました。

会場の様子

 (会場の様子)