阿刀田館長が館長連続講座「短編小説の楽しみ、今でしょ」の第6回講義を行いました。今回の講義では、阿刀田館長自身の作品「めぐりあいて」を取り上げました。
阿刀田館長は小説家になる以前をふりかえり、肺結核の療養所で欧米の短編小説を読みあさった体験が後に役立ったことや、小説家になろうと考えたのは30代の半ばを過ぎてからで、若いころの習作は少なく、「読んでいれば書ける」を実践したようなところはある、などと話しました。

(話をする館長の様子)
今回取り上げた「めぐりあいて」について阿刀田館長は、紫式部の"めぐり逢ひて~"の歌が恋の歌ではなく雑歌とされていることへの違和感がきっかけとなり、そこから知的エリート女性の屈折した心理に思いをはせ、それを現代女性に当て込んでみた作品で、今まで900近く書いてきた短編の中で「その中から50選べ」と言われたら、この作品を入れるだろうと思うほど、思い入れがある作品でもあると語りました。

(会場の様子)
今回が連続講座の第四期最終回となり、出席回数を満たした受講者には修了証が配布されました。