阿刀田館長が館長連続講座「短編小説の楽しみ、今でしょ」の第1回講義を行いました。
今回の講義では、重松清「母帰る」を取り上げました。
重松清について阿刀田館長は、文章が確かで、人間観察力があり、現代社会の問題点をみる目がある優れた作家であると評しました。また、作家として登場した当初から、優れた作家であると確信していた、と話しました。
(話をする館長の様子)
阿刀田館長は、クリエーションの方法には、「古典にそ(沿)う」「古典に反する」「別次元を考える」、という3つの方法があると話し、「母帰る」は、菊池寛作「父帰る」とは、「反対」でもあり「そうても」いる、発展形ともいえる微妙な作品であり、的確なリアリティをもっている作品である、と評しました。
また、「母帰る」は、最初の2、3ページで登場人物と状況がわかる、プレゼンテーションが確かな作品で、会話のやり取りで人物像が見事に表現され、最初のプレゼンテーションが結末にうまくつながっている、と語りました。