約80名の図書館主任、学校司書を前に、自身の生い立ちや幼少期の本との出会い、青年期の入院生活での読書体験、読書の教育面における重要性を強調しました。また、IT技術が進展する現代における図書館の本来的な役割についても話しました。
名誉館長ギャラリー
阿刀田館長が、館長連続講座「やさしく、楽しい源氏物語」の第5回講義を行いました。第5回のテーマは、『晩年と次のヒーローたち』でした。
講義では、源氏晩年のストーリーを飾るヒーローたちの活躍に焦点を当て、夕霧、柏木らを個人別で追いかけることにより、別の角度から物語を見ることができると語りました。
(話をする館長の様子)
源氏と葵の息子である夕霧は、作中では左大臣になるまでしか触れられていませんが、「源氏の三人の子どもは一人が天皇、一人が太政大臣、一人が中宮になる」という予言成就において、いずれ太政大臣となる一人と話しました。また、「夕霧」の一帖が源氏が亡くなる「幻」「雲隠」の前にあることから、源氏の後継者としての存在と語りました。
一方、頭中将の息子である柏木については、源氏の正妻の立場である女三の宮との間に不義の子である薫を成しました。このことについては、かつて源氏が桐壷帝に行った不義を、同じように源氏へ行った、因果応報の物語であると話しました。
また、紫の上については、物語中で最も可哀想な人であると話しました。美貌と才がありながら、源氏なしでは生きられない環境に置かれ、源氏のためにあるという役割をプリントされた存在であり、源氏にとっての愛人、妻、母、親友の役割を担ったと語りました。
(会場の様子)
阿刀田館長が、館長連続講座「やさしく、楽しい源氏物語」の第4回講義を行いました。第4回のテーマは、『玉鬘物語として読む』でした。
講義では、「玉鬘」の物語が貴種流離譚であることについて話しました。玉鬘は、源氏が関係を持った亡き夕顔の娘であり、父親は源氏の友人の頭中将でした。夕顔亡きあと、乳母とともに九州の地で美しく育った玉鬘は、地方豪族たちに求められますが、やっとの思いで京へ帰り着き、源氏に養育されることとなります。九州から京への物語や、その後、髭黒の妻となることを挙げ、玉鬘の苦労の多い人生について語りました。
(話をする館長の様子)
また、現代小説的な要素のひとつとして、登場する女性が個性をもってそれぞれ描かれていることを挙げ、7・5・3で分類できると話しました。 7は、源氏が深い関わりを持った①藤壷、②葵上、③六条御息所、④紫の上、⑤朧月夜、⑥明石の君、⑦女三の宮。 5は、源氏と短い関わりを持った①空蝉、②軒端荻、③夕顔、④末摘花、⑤花散里。 3は、とうとう源氏と深い関係にならなかった①朝顔、②秋好中宮、③玉鬘。
(会場の様子)
阿刀田館長が、館長連続講座「やさしく、楽しい源氏物語」の第3回講義を行いました。第3回のテーマは、『貴種流離譚とは』でした。
(話をする館長の様子)
講義では、「予言の実現」、「因果応報」、「勧善懲悪」、また折口信夫が展開した「マレビト」のほか、「貴種流離譚」など、物語のパターンについて話しました。 源氏物語における物語のパターンとしては、源氏が須磨に下り、再び京へ戻って栄光を掴むという「貴種流離譚」や、高麗の占い師の予言のとおり準天皇の立場となるなど「予言の実現」、藤壷と通じて不義の子を成した源氏が、正妻の女三の宮と柏木との間に生まれた子(薫)を養育することとなる「因果応報」などが盛り込まれていると話しました。
また、心情として、社会生活として、当時の「男性」への憧れについて語り、特に宮中などエリート階級の女性は、男性のふるまいに身をゆだねるより仕方なく、人生の無常観が常に精神の上にあったと話しました。
(会場の様子)
阿刀田館長が、館長連続講座「やさしく、楽しい源氏物語」の第2回講義を行いました。第2回のテーマは、『「源氏物語」水系と短篇小説』でした。
講義では、まず「源氏物語」の現代語訳について触れました。「桐壷」冒頭部分の瀬戸内寂聴氏の訳、円地文子氏の訳を比較し、瀬戸内版が比較的原文に近く素直な訳であるのに対し、円地版では桐壷更衣を妬む女の目が「玉虫色に燃え立っていた」など原文にない創意的な訳を行っていると話しました。
(話をする館長の様子)
館長が作成した「源氏物語」の流れを描いた図、「源氏物語水系図」を紹介しました。「桐壷湖」から始まる水系は、「源氏川」を本流とし、「空蝉沼」、「夕顔沼」などの短編小説的な溜池がそばにありつつ、難所である「須磨」「明石」を流れていきます。その後「玉鬘分水」などを経て、「宇治川」へたどり着くという図です。この図に沿って、物語の構成を解説しました。
また、「桐壷」と「帚木」の間に、「輝く日の宮」という一帖が存在するという説についても触れました。「輝く日の宮」の内容としては、源氏と藤壷の逢瀬について、また後に生霊となって現れる六条御息所との関係が描かれたのではないかと話しました。
(会場の様子)
8月21日(日曜)午後2時より、館長出張トークが開催されました。
今回の出張トークでは、中央市玉穂生涯学習館において、「日本語っておもしろい」を演台とした講演が行われ、市民200名が参加しました。
(話をする館長の様子)
講演では、「父親が持っていた落語の本を読み読書の楽しみを知った」という少年時代を語ったほか、日本語が持つ奥深さや洒落についてや、日本人の識字率は世界一であるということを語り、日本語や読書の大切さを伝えました。
(会場の様子)
7月20日(金曜)、館長出張トークが開催されました。
今回の出張トークでは、県立巨摩高校進修館で「青春時代の読書について」と題した講演が行われ、1学年生220名余が参加しました。
講演では、「読書年齢は15歳くらいまでに形成されるため、参加している皆さんの年齢なら少しの努力で読書習慣を身につけることができる」ことや、「自分にとって面白い本と出会ってほしい」ということ、「読書は自分のオリジナリティを創造すること」を語り、読書の大切さを伝えました。
質問会では、参加した皆さんからの「作家になるには?」「おすすめの本を紹介してほしい」といった質問に、ひとつひとつ丁寧に回答しました。
平成28年5月21日(土)、
富士川町ますほ文化ホールで行われた富士川町文化講演会において、
阿刀田館長が「日本語えとせとら ことばっておもしろい」と題し、講演を行いました。