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2017/2/4 館長連続講座(第5回)が行われました。

 阿刀田館長が、館長連続講座「やさしく、楽しい源氏物語」の第5回講義を行いました。第5回のテーマは、『晩年と次のヒーローたち』でした。

  講義では、源氏晩年のストーリーを飾るヒーローたちの活躍に焦点を当て、夕霧、柏木らを個人別で追いかけることにより、別の角度から物語を見ることができると語りました。

話をする館長の様子(話をする館長の様子)

 源氏と葵の息子である夕霧は、作中では左大臣になるまでしか触れられていませんが、「源氏の三人の子どもは一人が天皇、一人が太政大臣、一人が中宮になる」という予言成就において、いずれ太政大臣となる一人と話しました。また、「夕霧」の一帖が源氏が亡くなる「幻」「雲隠」の前にあることから、源氏の後継者としての存在と語りました。

  一方、頭中将の息子である柏木については、源氏の正妻の立場である女三の宮との間に不義の子である薫を成しました。このことについては、かつて源氏が桐壷帝に行った不義を、同じように源氏へ行った、因果応報の物語であると話しました。

  また、紫の上については、物語中で最も可哀想な人であると話しました。美貌と才がありながら、源氏なしでは生きられない環境に置かれ、源氏のためにあるという役割をプリントされた存在であり、源氏にとっての愛人、妻、母、親友の役割を担ったと語りました。

会場の様子

(会場の様子)