ホーム > 阿刀田名誉館長の部屋 > 2016/11/12 館長連続講座(第2回)が行われました。

2016/11/12 館長連続講座(第2回)が行われました。

 阿刀田館長が、館長連続講座「やさしく、楽しい源氏物語」の第2回講義を行いました。第2回のテーマは、『「源氏物語」水系と短篇小説』でした。

  講義では、まず「源氏物語」の現代語訳について触れました。「桐壷」冒頭部分の瀬戸内寂聴氏の訳、円地文子氏の訳を比較し、瀬戸内版が比較的原文に近く素直な訳であるのに対し、円地版では桐壷更衣を妬む女の目が「玉虫色に燃え立っていた」など原文にない創意的な訳を行っていると話しました。

(話をする館長の様子)

 館長が作成した「源氏物語」の流れを描いた図、「源氏物語水系図」を紹介しました。「桐壷湖」から始まる水系は、「源氏川」を本流とし、「空蝉沼」、「夕顔沼」などの短編小説的な溜池がそばにありつつ、難所である「須磨」「明石」を流れていきます。その後「玉鬘分水」などを経て、「宇治川」へたどり着くという図です。この図に沿って、物語の構成を解説しました。

 また、「桐壷」と「帚木」の間に、「輝く日の宮」という一帖が存在するという説についても触れました。「輝く日の宮」の内容としては、源氏と藤壷の逢瀬について、また後に生霊となって現れる六条御息所との関係が描かれたのではないかと話しました。

会場の様子

(会場の様子)