山梨県甲府勧業場之図 / 蚕業奨励の達御請書 山梨県甲府勧業場之図 (やまなしけんこうふかんぎょうじょうのず) 明治7年(1874)、山梨県が甲府錦町(甲府市中央2丁目)に設立した県営の器械製糸場の図です。洋風煉瓦造りの建物は明治維新期、権令(ごんれい)として山梨県に赴任して県令(けんれい)となり、のちに初代知事を務めることになる藤村紫朗(ふじむらしろう)が押しすすめた殖産興業の象徴ともいうべきものでした。建物は東西35間(63m)、南北5間(9m)という大きさで、工事には1年半を費やし、200人繰りの製糸器械が並ぶ作業場から倉庫、食堂まで備えた近代的な大工場だったといわれています。規模的には官営の富岡製糸場(群馬県)に次ぐもので、当時の新聞も完成を大きく報じています。その壮大な工場を描いたこの錦絵は、当時飛ぶように売れたと伝えられています。 |