峡中八珍果の図 〈甲斐叢記 1〉 (きょうちゅうはちちんかのず) 峡中八珍果は、江戸時代に甲斐国の代表的な8種の果物を総称したもので、一般的には甲斐八珍果(かいはっちんか)の名称で呼ばれます。この8種類の果物というのは、葡萄(ぶどう)梨(なし)・桃(もも)・柿(かき)・栗(くり)・林檎(りんご)・石榴(ざくろ)・胡桃(くるみ)ですが、胡桃を銀杏(ぎんなん)に代えることもあります。この中ではなんといっても葡萄が名産として知られていましたが、その栽培面積は意外と小さく上岩崎村、下岩崎村、勝沼村、菱山村(勝沼町)の4か村だけだったといわれます。峡中八珍果図が載っている『甲斐叢記』という資料は、嘉永元年(1848)に成立した地誌で、全10巻から成ります。著者は、大森快庵(おおもりかいあん)で、別名「甲斐名所図会(かいめいしょずえ)」とも呼ばれます。この別称のとおり、甲斐の名産、名勝などの図が数多く挿入され興味ある内容となっています。「葡萄図」もそのひとつです。 葡萄図(ぶどうず) 〈甲斐叢記 2〉 |