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館長ギャラリー

2024年2月17日(日曜日)金田一館長連続講座「日本語学への招待」(第5回)開催しました。

 令和6217日(土曜日)当館2階多目的ホール及びオンラインにて、金田一秀穂館長による連続講座「日本語学への招待」(第5回)を開催しました。

 前半は主にアクセントをテーマに話題が展開されました。アクセントは、文章の流れ中で音を上げ下げするイントネーションとは異なり、単語自体の上げ下げを指しています。20万語ある日本語には多くの同音語があり、その区別のために「アクセント」が重要となってきます。
 アクセントは「1拍目と2拍目の音の高さは違う」「一度上がって下がるともう上がらない(1語1山)」というルールがあって、そのルールについての説明がありました。
 「孫の手」は発音次第で1語(背中を掻く道具)にも3語(お孫さんの手)にもなります。また「パンツ」や「彼氏」「クラブ」も、最近はアクセントによって意味合いが変わっていて、時代によってアクセントが変わることもある、との説明がありました。

 後半は語の「表記」についてでした。私たちは当たり前のように文章の中に、漢字と平仮名と片仮名、数字やローマ字を組み合わせていますが、「6本木(=六本木)」「2人3脚(二人三脚)」などの表記はどこまで許容できるか、明確に決めはないとのことでした。
 このテーマについては、実際に「たまご」「玉子」「タマゴ」「卵」それぞれの表記を例に挙げ、「たまごやき」や「ゆでたまご」などの単語にどの字を当てるか、参加者全員で考えました。考えが一致するもの、そうでないものもありましたが、どれが正しい、ということはなく、みんなで決めていく、という説明がされました。

 このように日本語は言葉の違いを示すために、アクセントを工夫したり、漢字の違いを出したりと工夫をするのですが、これは日本語学習を学ぶ人としては「悪魔の言葉」と言われるくらい難しいことでした。日本人はこれに困らないから幸せということで結ばれました。普段考えもしなかった、曖昧な日本語の面白さを知ることができて楽しかった、という感想もあり、皆さん日本語の奥深さを多角的に学べて満足されたようでした。

次回はいよいよ最終回です!お楽しみに!

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2024年3月10日(日曜日)金田一館長連続講座「日本語学への招待」(第6回)開催しました。

 令和6310日(日曜日)当館2階多目的ホール及びオンラインにて、金田一秀穂館長による連続講座「日本語学への招待」(第6回)を開催しました。今回が令和5年度の最終回ということで、これまでの振り返りを行いました。

 「日本語が難しい」という感想があったが、本当は思っているより日本語は優しいが、日本人は気づきにくいだけ。基本的には優しい言葉であることを知っておいてほしい。当たり前だと思っている言葉の中に不思議がある、とのことでした。

 また日本語の言語獲得過程についての話題の中で、日本では若いうちから外国語を学んでいるが、まずは日本語を学ぶことを大切にしてほしい、との話がありました。言語を学ぶ、ということは「通じる」ということではなく、「考える」ということ。伝えるための道具ではなく、その言葉で感じたり、考えたりできるのが一番大切な働きであるとのことでした。

 後半では日本語を学ぶことの意義について館長の思いを皆さんに伝えられました。中国語を勉強することで、儒教を、ラテン語を勉強することでキリスト教を、英語を学ぶことで、民主主義を学ぶことができる。こういった思想や哲学のようなものが、日本語を勉強して得られるのかということを若いときには考えたそうです。源氏物語やわびさび、アニメやマンガを読むために、というのでもいいが、結論としては日本文化を学ぶことで、自分の国を見直す鏡となってくれれば良い、とのことでした。
 日本語を学ぶことで、いろいろな国の文化を取り入れてきた日本の文化を知ることになり、自分の国の文化を客観視することができる。いろいろな人がいることを知り、それを面白がることが、本当の意味で相対的価値観を身に付け、本当の意味でのコスモポリタンになりうると締めくくられました。

 講座の最後には連続講座として受講し、全6回会場で出席された皆さんに修了証書をお渡ししました。皆様半年間ご参加いただき、ありがとうございました!

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2024年2月23日(金曜日・祝日)「中沢新一氏講演会&と金田一秀穂館長とのトークショー」を開催しました

 令和6年2月23日(金曜日)、当館イベントスペースにおいて『地政学からスピリットを深ぼる』をテーマに、「中沢新一氏講演会&金田一秀穂館長とのトークショー」を開催し、イベントスペース会場とリモート視聴を含む約370名の方に観覧いただきました。

 第1部は、「甲州アースダイバー」と題して山梨広域地図『日本第四紀地図』の地形図などの資料を観ながら山梨県人のルーツや宗教観念・ことば・風俗習慣に関する文化に触れ、第2部の金田一館長の進行によるトークショーでは、地域性の話題から、宗教やスピリットに携わる人々についての思考や行動についてお話を伺い、身近な話題を中心に興味深い話をいただきました。

 客席やリモート視聴の方からの質問にも丁寧にお答えいただき、イベントを通じて中沢氏からの山梨への地元愛が伝わるとともに、金田一館長のユーモアのある進行で、会場の皆様と一体となった楽しいトークショーとなりました。

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2024年1月21日(日曜日)金田一館長連続講座「日本語学への招待」(第4回)開催しました。

令和6年1月21日(日曜日)当館2階多目的ホール及びオンラインにて、金田一秀穂館長による連続講座「日本語学への招待」(第4回)を開催しました。前日の雪予報で開催が心配されましたが、無事に実施できました。

 冒頭では講座の参考文献として『日本語(上)』(金田一春彦著、岩波新書)を紹介されました。この本は音声学について、非常にクリアに説明をしていておすすめとのことでした。館長は旅行先でいつも書店に立ち寄るくらい書店が好きだそうで、最近書店がなくなっていることが寂しいそうです。是非この本は書店で買ってもらいたいとのことでした。

 今回は「語の使われ方」どんな語を使っているか 日本語は難しいか」ということで、日本語の仕組みについての解説となりました。日本語には「モーラ(拍)」と「シラブル(音節)」があり、「甲府」はモーラだと「こ・う・ふ」で3、シラブルだと「こー・ふ」で2となります。日本人は4拍が落ち着くということで、長い言葉も4拍に省略するとのことでした。例として「〇〇コン」を参加者の皆さんとたくさん挙げました(ファミコンやエアコンなど)。短歌や俳句も同じ構造で、このリズムが昔から日本人にとっては優しいとのことでした。

 また日本語の語彙について、しりとりを例に挙げて説明されました。しりとりの必勝法は最も語彙の少ない「る」で終わる言葉を続けると良いとのことでした。逆に最も多い語は「し」だそうです。多くの紙の辞書は最初の言葉が「愛(あい)」で、ちょうど真ん中が「世界(せかい)」、最後が「腕力(わんりょく)」になるということで、「日本が"世界"を中心として、"愛"と"腕力"のバランスを保っている」とまとめると、参加者の皆さんからも感心する声が上がりました。

 最後の質疑の時間には、館長が他県での講演で受けた「川は流れる」はおかしいのでは?という質問(川自体が流れるのではなく、川の水が流れるのでは?という意味)から「ドーナツの穴」(ドーナツは円形であり、「穴」自体はドーナツではない)や「どこでもドア」(ドア自体ではなく、どこかへ繋がっているのはドア枠)など、そういえばそうだ!といった疑問にも盛り上がりました。

 次回は2月です。お楽しみに!

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2023年12月17日(日曜日)金田一館長連続講座「日本語学への招待」(第3回)開催しました。

 令和5年12月17日(日曜日)当館2階多目的ホール及びオンラインにて、金田一秀穂館長による連続講座「日本語学への招待」(第3回)を開催しました。

 冒頭ではご自身が選考委員を務める「新語・流行語大賞」が発表されたことを受け、大賞をとった「アレ(A.R.E.)」について説明をしました。指示語について、「これ」は話し手に近く、「それ」は聞き手に近いが「あれ」は話し手、聞き手がよく分かっているものを指す時に使うため、監督・選手・ファンが一体となって仲間意識ができる、というお話でした。

 今回はテーマが「音を組み合わせる・音から見た日本語の起源 できた語」ということで、まずは日本語の起源に迫りました。
 文法について、ドイツの研究所の発表によると日本語のルーツは遼河流域(現在の中国内モンゴル)にあり、そこから西に移ってモンゴル語やトルコ語に、東に移って朝鮮語や日本語になったそうです。モンゴルの力士がとても日本語が上手なのは、モンゴル語は文法構造が日本語によく似ているから、とのことでした。 
 一方で音についてはこれらの言語とは違いがあり、こちらは太平洋ポリネシア系にルーツがあるとのことでした。例えばハワイ語のの「カメハメハ」や「ワイキキ」「ホノルル」のように、日本語の発音そのままで通じます。 
 このように日本語の起源と言っても、文法は大陸から、音は南からと違うルーツがあることが分かりました。

 後半は日本語の組み合わせについてのお話がありました。
日本語は濁音なども含めて101の音でできていて、その単純な構造が特徴で、日本語のあらゆることに影響を与えているそうです。例えば「かき」といっても「柿、牡蠣、花卉、火器」と同音異義語が多くあるように、音が同じで意味が違うことが日本語を複雑にしているが、それを解決するのが漢字であるとのことでした。

 参加された方からも日本語の起源や特徴についてもっと深く知りたいとの御意見もあり、とても有意義な講座になったのではないでしょうか。次回は1月です。お楽しみに!

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2023年11月12日(日曜日)「宮部みゆき氏と金田一秀穂館長とのトークショー」を開催しました

 『言葉とミステリーの楽しみ』と題して、宮部みゆき氏をお招きし、金田一館長とのトークショーを、リモート視聴を含む約340名の方に観覧いただきました。

 第1部は、宮部氏の近況や「贈りたい本大賞」にちなんだ贈りたい本についての話題、今年の新刊『ぼんぼん彩句』からは、俳句をもとにした執筆のきっかけや俳句仲間である出版社の方々の飛び入り参加など、宮部氏の交友関係や制作の裏話で盛り上がりました。

 第2部は、数々のミステリーの登場人物やSF・妖怪の話題、物語のネタやストーリーを生む発想やきっかけなど、宮部氏の経験談を交えた興味深い内容のお話しをいただきました。人気作家の人柄や作家生活の一コマを垣間見るとともに、金田一館長のユーモアのある進行により、会場の皆様と一体となった楽しいトークショーとなりました。

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2023年10月21日(土曜日)金田一館長連続講座「日本語学への招待」(第2回)開催しました。

令和51021日(土曜日)当館2階多目的ホール及びオンラインにて、金田一秀穂館長による連続講座「日本語学への招待」(第2回)を開催しました。
金田一館長より、参加者同士が議論を深められるように、という要望もあり、今回から机の配置をコの字型に変えました。
第1回を上回る多くの方が受講され、今回も大変盛り上がりました。

前回が昨年度のおさらいのような内容だったので、今回は1回目で取り上げる予定だった「二重分節」についてから始まりました。

二重分節とは文章を語で分け、音でさらに分けるというもので、
日本語は音でいうと100語程度の組み合わせしかなく、それを組み合わせることで20万語の単語ができあがり、
さらに無限の文章ができるということです。

50音に濁音を加えた全ての音節を取り上げ、
それぞれの音節を使った日本の言葉をみんなで挙げていきました。
擬音や外来語などは除くため、言葉の少ない音節には苦戦をしましたが、
みなさん音の特徴について理解をされたようです。

次回は12月です。お楽しみに!


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2023年9月24日(日曜日)「金田一館長講演会連続講座「日本語学への招待」(第1回)」開催しました。

令和5924日(日曜日)当館2階多目的ホール及びオンラインにて、金田一秀穂館長による連続講座「日本語学への招待」(第1回)を開催しました。
コロナ禍の影響もあり、4年ぶりの連続講座となりましたが、多くの方のお申込みがあり、講座の人気の高さがうかがえました。

今回は全6回のうちの1回目、「日本語学の扱う範囲」というタイトルでしたが、
内容的には昨年度を振り返る導入のような形となりました。

まず受講者の1人に「あいうえお」と発声してもらうことで、何がわかるかという問いかけから始まりました。
性別や年齢、人種など、人のアイデンティティに関わるものと、
もう一つ大事なものとして、距離や位置など、その人のいる「場所」が分かるというものでした。

この場所や位置が分かる、ということについて
色々な動物の特性などを交えながら、
ルールを覚えなければ、伝わらない記号言語としての言葉より、
感情を込めた「鳴き声」の方が力があるとしつつも、
記号と発音が関連性を持たない「恣意性」があることにより、
様々な変化に対応できるという側面もあるということでした。

普段深く考えない「日本語を話す」という行為について、
考える機会となり、参加者の皆さんもとても面白かったという感想をいただきました。

次回より本格的に日本語学を学んでいくことになります。お楽しみに!

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2023年2月19日(日曜日)「酒井順子氏講演会&金田一秀穂館長とのトークショー開催しました

 令和5年2月19日(日曜日)、当館1階イベントスペース及びオンラインにて、金田一館長企画事業「酒井順子氏講演会&金田一秀穂館長とのトークショー」を開催しました。今回は女性の生き方について多くの著作を刊行しているエッセイストの酒井順子さんによる講演と、金田一館長とのトークショーとなりました。

 酒井さんには、ご著書の『百年の女「婦人公論」が見た大正、昭和、平成』の内容にふれながら、日本女性の近代史を振り返り、女性の生き方と、それに伴う女性をあらわす言葉の変遷についてお話しいただきました。金田一館長が聞き手となったトークショーでは、さらに幅広い話題で酒井さんの魅力をお楽しみいただきました。会場とオンライン視聴を合わせて214名の方にご参加いただきました。

 来年度も館長企画事業を予定していますので、どうぞお楽しみに。

 

酒井順子氏講演会の様子 酒井順子氏、金田一館長トークショーの様子

2023年2月18日(土曜日)「金田一館長講演会「ことば学への招待」(第5回・最終回)」開催し、今年度の館長講座を終了しました

 令和5年2月18日(土曜日)、当館2階多目的ホール及びオンラインにて、金田一秀穂館長による講演会「ことば学への招待」を開催しました。今回が第5回目の講座で、今年度の最終回となりました。

 感情や情報などを伝える手段としてのことば「記号言語」と、ことばではなく動物も使える意思疎通手段としての「鳴き声」、人類の歴史とことばの発達とのかかわりなど、時の話題なども織り交ぜながら、楽しくわかりやすく解説していただきました。

 新型コロナウイルス感染症の影響で年6回の連続講座形式では開催できませんでしたが、全5回の講演会として会場とオンラインでたくさんのみなさまにご参加いただきました。ありがとうございました。来年度も金田一館長の講演会を開催する予定です。テーマは「日本語学への招待」とのことですので、どうぞお楽しみに!

 

館長講座の様子1 館長講座の様子2