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2020/10/25 金田一館長「ことば学」講演会(第1回)を開催しました

 10月25日(日曜日)に、金田一館長「ことば学」講演会(第1回)を開催しました。
 例年の連続講座の形ではなく、単独の講演会としての開催となりました。



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(話をする館長の様子)
  


 新語・流行語大賞の審査員をしているが、今年の候補のうち三分の二がコロナ関係である。コロナ関係の言葉には外来語が多い。コロナはユニバーサルであるということが問題で、コロナ対策をしている各国の言葉をそのまま持ってきている。本来であれば行政や官庁がわかりやすい日本語におきかえるべきところを、とにかく急いで国内に持ちこむからだ。

 こうしたコロナ関係の新語の中で、唯一好きなのが「三密」だ。日本語は、この「三密」のようにたくさんのことを一つの言葉にすっとまとめるのが得意である。日本は他の国と比べて被害が少ないようだが、その原因の一つに「三密」という簡単な言葉が僕らにあったからではないかと思う。

 言葉自体が増えたり変わったりということだけでなく、人と人とのコミュニケーションの形態も、コロナの影響を受けた。コロナ禍でZOOMなどのリモートでの会話が増えたが、会議後「退出」すればそれで終わりになる。時間が短くできるのはいいが、用件以外でのムダ話やつまらない話をする時間がなくなってしまって、味気なさ、素っ気なさを感じる。そうした用件外のやりとりの時間が人間的だったのにと思う。そういう部分がリモートワークで変わっていくのだろう。かつて手書きからワープロ、PCに変わっていったように、ZOOMなどもコロナ後の時代には新しく違うツールがでてくるのではないか。

 コロナ禍で、普通に生活していることがどんなに幸せか認識することができたように思う。元に戻れば我々はすぐこの憂鬱な世界を忘れてしまうだろうが、今の若者にはこの時代をよく見て、年を取ってからもずっと話せるように、覚えていて欲しい。

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(会場の様子)