ホーム > 金田一館長の部屋 > 2019/11/17 館長連続講座(第3回)を開催しました

2019/11/17 館長連続講座(第3回)を開催しました

 11月17日に館長連続講座「寺子屋ことば学」の第3回講義を行いました。
 ※館長連続講座「寺子屋ことば学」第2回・第6回は休講となりました。


1117kancho01.JPG
(話をする館長の様子)
  

 

 館長は体調不良時に感じた、人に説得力のある答え方と不安にさせる答え方について、"わからないことがわかっているか"、"わからないということがわかっていないか"の違いではないかと語りました。ソクラテスではないが、"わからないこと"と"わかることがきちんとわかっている"人は、"わからない"と答えても説得力があると語りました。また若い方は、質問されると困ってしまう人もいるようだが質問されることにビクビクしないでほしいと語り、教師は質問されることを面白がってほしいと話しました。たとえば以前、学生に「犬とネコがいますという言い方はするが、ネコと犬はいますとは言わない、なぜか」と聞かれたことはある。本当に難しい質問であり、自分もわからなかった。わからないことはわからない、面白いねと言って一緒に考えれば良いのではないか、そういうことで信頼関係を作れるのではないかと語りました。


 また発話のテクストと会話の意味については、意図した意味と解釈した意味が一致していれば問題ないが、一致していないこともあり、誤解を生むことがあると話しました。たとえば「What is this?」「This is a pen」もそのままの意味ではなく、「これはなんだ?」「なぜここにあるのだ」の意味になり、教師が「これはなんだ?」と言って生徒が「スマホです」と答えるのでは怒られると話し、自分たちは言葉どおりの意味では話をしていないと語りました。言葉どおりの意味と実際に使われている発話の意味は違い、その発話の意味のことを語用論(pragmatics)と言うと話し、外国語にも語用論的意味はあるが、"日本語はあいまいだ"と言われるのは、このような部分から来ていると話しました。


1117kancho03.JPG(会場の様子)