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2019/7/11 南アルプス市立白根飯野小学校で出張トークを行いました

 令和元年7月11日(木)、南アルプス市立白根飯野小学校で出張トークを行いました。保護者の方約120名を前に、「子どもと読書」と題して講演を行いました。聴衆の皆さんは熱心に耳を傾けてくださいました。最初に、県立図書館をPRしました。


話をする館長の様子(話をする館長の様子)
  

 県立図書館は、甲府駅北口から近い所にあり建物はモダンである。空調も効いていて快適で、ビデオなども見ることができる。是非、気軽に来てもらいたい。

 今は時代の変化を感じる時である。この先、従来の変化より大きな変化があるのではないか。まず、平均寿命が延びて90歳位まで生きるようになったこと。子どもたちは、後80年生きなくてはならない。これからは現在とはまったく違う世の中になる。長い期間働かなくてはならなくなるから、長いスパンで考えた方がいい。慌てなくてもいいと子どもたちに教えてあげたい。

 次に、AIである。AIがいろいろな仕事を変えていく。例えば、医者や銀行の仕事のが変わる。中国では、コインやお札を持たなくなっている。すべてスマホなどで決済する。日本ももうすぐそうなる。そうなったら、会社の人員が減ってきて仕事がなくなっていく。 また、英語はあまり勉強する必要がなくなる。そもそも日本人は英会話が苦手である。知らない人とはあまりしゃべりたがらない。今では、自動翻訳機「ポケトーク」やグーグルなどのアプリがある。ほとんど困らない。機械では心が通じないと言う人がいるが、機械の方が賢い。

 日本人は、他人と議論をしたがらない。日本では、会話する場合、お互いのどこが一緒か、同じかを探す。落としどころを見つけるものである。新しい考え方は出てこない。何か違うことを言われると、批判された、文句を言われたと考えてしまう。 学校の授業で「道徳」をやる理由がわからない。良い子を育てるためにやっている。道徳をやる前に哲学をやってもらいたい。なぜ学校、勉強が必要か子どもたちに考えさせればいい。

 自分は小学校2,3年の時、病気で入院していたので学校に行っていない。医者の言うことを良く聞いて治そうとしたがなかなか治らなかった。周りの子は半分くらい死んでいった。努力しても死んでしまった。努力というものはあまり力がない。この経験から努力は無駄であり、諦めることを知った。

 卓球の愛ちゃんは子どもの時から練習していて、怒られても止められなかった。卓球が好きだから止められない。好きなことができる子は成功する。祖父の京助は文化勲章をもらったが、アイヌ語の研究を長いことやっていた。研究をしてご飯を食べてまた机に向かう、この繰り返し。これを努力かというとそうではなく、ただ好きだったということ。ノーベル賞を取った人はそういう人が多い。早い時期に自分の好きなことを見つけた人には敵わない。いわゆる"グリット"である。

 自分は病気だったから外では遊べない。プールにも入れない。だから本ばかり読んでいた。そういう子どもは不幸。読書しかない。健康の方がいい。本ばかり読んでいてもしょうがない。

 子どもを読書好きにさせるには、本を読ませるには、家に本箱の一つか二つくらいがあった方がいい。親が本を読まないと子どもも本を読まない。子どもは親の鏡である。自分は親が読んでいたから読んだ。 読んで面白かったものは、百科事典、時刻表、旅の案内書などであった。小学校の頃はそればっかり読んでいた。行きたいところにどうやって行くのか、電車はどこで降りるのか、どんな食物があるのか、そんなことを一日考えるのが楽しかった。

 親の言葉で子どもは育つが、読書はそれ以外のものだから、いろいろな言葉を知って成長できる。言葉は、会話、コミュニケーションのためだけでなく、自分でものごとを感じたり、考えるために存在する。子どもは語彙数が少ないが、言葉をたくさん知ってくると物事を分析的に言えるようになる。

 作文、小論文の書き方として最初に結論を書く方法があるが、書く意味がまったくない。人の考えを伝えるために書いているのではない。読書感想文などは、自分が何を考えているのかを整理するために書くべきである。書いているうちに自分は何がつまらなかった、良かったか、何に感動したのかなどが分かってきて最後に結論になる。これは、しゃべるとスッキリするという感じと同じである。書くことの意味を考えると、今の国語教育は少し違うことをやっているのではないかと思う。

 これからの子どもは自分できちんと考えて、自分で判断して、自分の言葉で表現できるようになってもらいたい。他人の言ったこと、考えを鵜呑みにしないで自分で考えることが求められる時代になる。例えば、オリンピックに反対してもいいではないか。温暖化を疑ってもいいではないか。さもないと騙されて、先の戦争のようなことになってしまう。言葉をたくさん使って考えていってもらいたい。

 学校で楽しめる本としてお薦めは、絵本のようでやさしく書かれている哲学の本、論語などの古典もいい。古典は生きる知恵を教えてくれる。人間は2千年前と変わらない、全然進歩していないと思う。いくつになっても読める楽しい本である。

 




会場の様子
(会場の様子)