館長連続講座「寺子屋ことば学」の第5回講義を行いました。第5回のテーマは、『ふんべつする言葉』でした。
最初に4月1日に発表が予定される新しい元号についての話題に触れながら、新しい時代、平成や昭和などと、時間で"区切る"のは日本人の特徴であり、日本文化であると話しはじめました。芸能人や歌舞伎役者などは、夜でも"おはようございます"と言うが、私たちも夕方から出勤する方などは、"おはようございます"と言わないだろうか。 "おはようございます"は朝のあいさつというよりも、働いている時間と休んでいる時間を分けるもので、朝早くからご苦労様の意味合いがある。 同じように、"いただきます"と"ごちそうさま"も食事の時間を区切っているものであり、あいさつそのものが会っている時間と会っていない時間を分けるものである。また、冒頭で話題にした元号も平成や昭和と名前を付けて区切っていることを指摘しました。
また"区切る"というのは"あるもの"と"ないもの"を分けることでもあると語り、"スイーツに入るのは何か、どこまで入るのか"といった話や、野菜と果物はどこで分けるのかといったと話題では会場も湧きました。
そして、ものの数え方の話題に移ると、以前出演した番組で共演者にドラえもんの数え方を尋ねて困らせたこと、料金などで大人/小人と書くことがあるが、小人の読み方がわからなくても意味が分かればよいものもあること、"親子"と書くより"父娘"と書くことで4通り(父・息子、父・娘、母・息子、母・娘)の中で1つに絞ることができることなどもユーモアを交えて紹介しました。
最後には言葉はコミュニケーションの道具であるといわれるが、あくまでも特徴の一部でしかなく、分析や"ふんべつ"をすることが、ことばのもつ機能だと話しました。