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2018/9/16 甲府市立図書館で出張トークを行いました

 2018年9月16日(火)、甲府市立図書館で出張トークを行いました。約130名の聴衆を前に「心地よい日本語」と題して、例えを使いながら軽妙な語り口調で講演を行いました。参加者は時折笑いながら興味深げに耳を傾けていました。
話をする館長の様子
(話をする館長の様子)
  

 図書館の役割は、本を読んで利用してもらうことであるが、基本的には記録庫的なものがある。特に県立図書館は、誰も借りたことのない本、貴重な本を保管する、そんな図書館にしたいと考えている。また、東京からも近く山梨県をアピールする場所でもあるのでそうした意味でも図書館を利用してもらいたい。

 私は、国語ではなく、日本語を教えている。外国の人が日本語を使えるようにすること、そのための教師を教えることが仕事である。

 学校の授業としての国語では、何を教えているのかよくわからない面があると感じている。例えば古典に関して、文法だけを中心に教えるとかえってきらいになってしまう。むしろ、昔の人はどういうことを美しいと思ったかなどを考えさせた方が良い。

 言葉は半分理屈であり、例えば、「何々は」とか「何々が」の助詞の使い分けなどの理屈を若い時に考えてほしい。

 日本語は、英語などと比較すると理屈がなく曖昧なものだと思われているが、実はとてもロジカルにできており精巧なルールがある。だから、日本語は難しいと思っている人が多いが、実はやさしいといえる。

 コンピュータのように正確に言うことは、それはそれで良いが、ある程度、曖昧な面もないと実際生活していく上で言葉を心地よく感じられない。きちんとした言葉で柔らかな人間的な言葉が良い。

 昨今は、自動翻訳機などが普及し自分で英語をしゃべる必要性が低くなってきている。 これからは、英語そのものを勉強するというよりは、もっと違うことを勉強するようになるのではないか。

 私達は本来、言葉ではなく、鳴き声でコミュニケーションをしてきた。声の方が気持ちを伝えられる。それが「心地よい言葉」の原初であり理解し合える言葉である。それでもって、いろいろな機械を使いこなしていけば良い。

 



会場の様子
(会場の様子)