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2018/8/7 学校図書館教育研究会東山梨支部夏季学習会で出張トークを行いました

 2018年8月7日(火)、学校図書館教育研究会東山梨支部夏季学習会で出張トークを行いました。約40名の小中学校国語教諭と学校司書を前に「本とことば」と題して、身振り手振りを交えて講演を行いました。参加者の皆さんは時折笑いながら耳を傾けていました。
話をする館長の様子
(話をする館長の様子)
  

 幼少期の読書環境として、家には本が沢山あり、本はその頃から好きであった。そのため、小学校に入る前にはだいたいの字は読めるようになっていた。ところが、小学校1年の時に病気に罹り入院生活を余儀なくされた。なかなか良くならず辛い時期が続いたが、そのうちに新薬が開発されてそれを飲んだらすぐに直って学校に行けるようになった。

 このような経験から、努力は報われず、無駄だと考えるようになった。努力することは大切だというが、当人にとっては好きだからやっているだけであり、また、結果がどうなるかは運の良さも関係する。大切なのは、グリットというもので、そのことだけをやり続ける力、やめないでやり抜く力のことであり、これを持っている人が凄い。 ノーベル賞受賞者の大隅良典博士は研究がやりたかっただけであると言っているし、作詞家のなかにし礼氏も、苦心はしたが、苦労はしていないと言っている。祖父の金田一京助もアイヌのことがたまらなく好きで研究に没頭したが、それは努力だとは思っていなかったし、そのことが後に、運良く、文化勲章に繋がったということである。

 また、読書感想文について言うと、自分はかなり読書をしていたが、実際は書けなかった。それは、書けるような本、推薦本などはつまらないと思い、もっぱら、調べることができる本、汽車の時刻表、旅行案内、歴史年表、人名辞典等を読んでいたからだ。感想文は、先生がどう思うのかではなく、自分の考えを書けばそれで良いと思う。 国語が好きな人は、物語が好きである。国語はある部分、人の気持ちを読むことであり、言葉によって書き表された人の気持ちや行動を考えるものである。調べるための本を読むことはそうではなく、こういう国語をもっと、勉強してもらいたい。

 国語学者は、研究をやるもので文学をやるわけではない。例えば、「イヌとネコ」、「東西」、「裏面」という場合は、なぜ「イヌ」、「東」、「裏」が先に来るのか、これは国によって違うが、そういう理由を考えることの方が国語の勉強としてはおもしろい。多くの漢字を知っていることより、こういうことを説明できる方が賢い。

 AIが発明され、知識面や情報面では人間は敵わない。大切なのは、考えて、感じて、表現することである。最近の若い人は面倒くさがって考えることをしたがらないが、考える喜びを教えてやりたい。はっと、わかった時は楽しい。


会場の様子
(会場の様子)
   
 最後に、学校や図書館の役割として、本を使って調べることやテーマは何でも良いので調査学習を子ども達にさせてもらい、身近なことから疑問を持ち、考える楽しさを知ってもらいたいことを強調しました。