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2018/6/10 山梨県立美術館で館長出張トークを行いました

 2018年6月10日(日)、山梨県立美術館で館長出張トークを行いました。約80名の同館協力員を前に、「造形と言葉」と題してユーモアと例えを交えながらのわかり易い講演を行いました。参加者は、時折笑いながら熱心に聞き入っていらっしゃいました。
 日本の教育は、読書感想文などの「書き言葉」に重点がおかれ、「話し言葉」については、ほとんど教育がなされない。ヨーロッパ人にとっては、言葉は音の研究から始まり、一方、日本や中国などの東アジアの漢字文化圏の場合は、文字と音声言語が別々に発展してきている。綺麗に伝わるしゃべり方など、音声言葉の勉強にもっと力を入れるべきことを主張しました。

20180610_4.jpg(話をする館長の様子)

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(会場の様子)
 また、日本語では、文字の視覚的な面を意味として捉えるため、日本人は、形や絵で物事が判断できる。このことをメールなどで使う絵文字で例示しました。
 さらに、言葉は、言葉そのものだけで成り立つわけではなく、コンテクスト(状況、前後関係)により意味を成すものであることを、例えば、聖句「人はパンのみにて生きるにあらず」を講演者の自分が言っても意味を成さないことで示し、同じように絵画なども美術館で観るといったコンテクストを通すことで意味があることを、現代アートに関するマルセル・ジュシャンの言葉「作品そのものだけでなく、それを鑑賞する過程まで含めることで芸術になる」を引用しながら説明しました。このように、言葉と芸術・造形に類似点があることを指摘されました。