館長連続講座「小倉百人一首を楽しく」の第1回講義を行いました。第1回のテーマは、『「小倉百人一首」の成立とあらまし』でした。受講に際して、知識を増やすことに加え創造性(クリエイティビティ)をぜひ培っていただきたいと語りました。
講義では、かつて文字を持たなかった日本人が、中国文化を基に仮名を開発したことを話しました。また、公の文書は全て漢文で書かれていた中、日本人独自のものを表すためにひらがながあったと語り、五七調のやかけ言葉など早くから言葉で楽しむ文化があったと話しました。
(話をする館長の様子)
小倉百人一首については、藤原定家が小倉山の山荘の障子に張る色紙のため万葉時代の天智天皇から順徳院までの秀歌を選んだものと語り、今回は特に紫式部の歌を取り上げました。
紫式部の歌「めぐりあひて…」は、古くからの友人を偶然見かけた時に詠まれた歌だと添書きがありますが、友人ではなくかつての恋人であり、恋多き人ではなかった紫式部の偉大なる千年の嘘ではないかと語りました。また、文学は作家の手を離れれば鑑賞する人に鑑賞の権利があり、直感でどう感じるかによって読書が深くなると話しました。 清少納言の歌にも触れ、孟嘗君の函谷関のエピソードを基にした教養あるやりとりを紹介しました。
(会場の様子)