阿刀田館長が、館長連続講座「短編小説を読む」の第4回講義を行いました。
今回の講義は芥川龍之介の作品「藪の中」を取り上げ、作家としての芥川と、その作品について話しました。
(話をする館長の様子)
阿刀田館長によると、芥川は非常に書物に明るく、小説がどういうものであるか、広く多彩に知っていたということです。
ただし、自分の人生の体験が乏しいせいか、人間をパターン化して描く傾向があり、生身の人間を描くことは苦手であったのはないかと推測しました。
また、芥川は小説の王道である長編を書かなかったため、小説家としては関脇クラスだが、小説の世界は長編作家だけでは面白くないのではないかと指摘しました。
(会場の様子)
「藪の中」については、芥川の代表作と言える作品で、外国の短編に見られるようなユニークな構成を持っているが、答えのないストーリーは独創的であり、すばらしいものだと高く評価しました。
今回も寒い中、多数の受講者の皆様にご参加いただきました。