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山梨県公共図書館協会会報 第41号

-目次-

図書館で味わう幸せ
山梨県公共図書館協会会長 小林久美
令和5年度山梨県図書館大会報告
大会テーマ「集う場としての図書館」
各部会の活動について
児童奉仕研究部会・地域資料研究部会・読書推進研究部会
令和5年度県内事情
令和5年度事業報告

図書館で味わう幸せ

山梨県公共図書館協会会長 小林久美

 図書館の起源は今から五千年以上も前とされ、その頃の楔形文字の粘土板の収蔵庫がメソポタミアで発見されています。我々の祖先が「文字」を使うようになって間もなく、文書を保存する必要性を感じたであろうことは想像に難くありません。古代から図書館の本質は「資料の収集・整理・保存・提供」とされますが、時を経て、その機能は拡大し続けています。
 今日の山梨県立図書館を例にとりますと、館内ではあらゆる年代の人々が、新聞や雑誌を読んだり、カフェでコーヒーを飲んだり、イベントを楽しんだりしています。利用者の目的は、資料の閲覧はもちろん、レファレンス、館内PCの利用、視聴覚資料の鑑賞から、研究・学習・交流・創作活動や、居場所を求めてなど、多岐にわたります。非来館での利用も蔵書検索、貸出予約、電子書籍の利用など、充実の一途を辿っています。
 これからの図書館の方向性に焦点を当てた行事が二つ、今年度、県内で開催されました。
 一つは、「地域の記憶~まもる、残す図書館~」をテーマに掲げた関東地区公共図書館協議会研究発表大会で、6月に山梨県立図書館で行われました。基調講演は東京大学名誉教授の根本彰氏による「図書館が地域アーカイブ機関であること」でした。デジタル化の進展により地球上のどこからでも書籍や文献等の閲覧が可能となった現代、地域の公立図書館の存在価値をあらためて問う機会となりました。その地域にしかない特別な資料を収集し、アーカイブ化したり、発信したりすることの意義を再認識することができました。
 もう一つは、「集う場としての図書館」をテーマにした山梨県図書館大会で、11月に市川三郷町生涯学習センターで開催されました。記念講演は絵本作家の鈴木まもる氏による「絵本と鳥の巣のふしぎ―鳥の巣が教えてくれること」でした。採集した実物の巣を次々と紹介しながら「材質や形状こそ違え、どの巣も子孫を守り育む子宮のような機能をもつ」と熱心に話されました。分科会では、コロナ禍を経て、非接触型の図書館利用やオンライン集会が一般化した今、「物理的な図書館の必要性」と「図書館にリアルで集う意味」を再考しました。大和市文化創造拠点シリウスの「健康都市図書館」や甲州市立勝沼図書館の「カムカムクラブ」(20年続く子ども読書クラブ)等多くの実践を共有できました。人が図書館という現実の空間を訪れ、その特色や雰囲気を肌で感じること、思いがけない本や人と出会うこと、課題解決の支援を受けること、コミュニティに参加し活動すること、こうした一つ一つの実体験が人生を豊かにし、さらには地域の発展を支えるという事例発表には説得力がありました。
 セレンディピティとは「偶然の出会いや予想外の発見から幸運をつかみ取る力」を指しますが、その能力を最も発揮しやすい場の一つが図書館であることは間違いありません。図書館を訪れた人が、何かを見つけて幸せを味わい、その後の人生をさらに良いものにするならば、図書館に携わる者の一人としてこれ以上の喜びはありません。

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令和5年度第36回山梨県図書館大会報告

大会テーマ「集う場としての図書館

講師等の発言は実行委員及び事務局が要約したものです。転載・2次利用は固くお断りいたします。

大会概要

 令和5年11月30日(木曜日)、第36回山梨県図書館大会が山梨県公共図書館協会、市川三郷町、市川三郷町教育委員会の主催により、市川三郷町生涯学習センター(ifセンター)を会場に開催されました。この大会は図書館関係者だけでなく日頃から読書活動に関わっている人、本や読書、図書館に興味がある人が一堂に会し、読書や図書館について考えるものです。当日は237名の参加を得て大変充実した大会となりました。
 コロナ禍を経て、「対面(リアル)」の意義が問われている今、図書館という場所に足を運んでもらうこと、その意義と方策を考えようと、本大会のテーマを<集う場としての図書館>と掲げて開催しました。
 開会式では実行委員長、山梨県公共図書館協会会長、市川三郷町長、県教育委員長から挨拶や来賓祝辞をいただきました。続いて、子供の読書活動優秀実践図書館・団体として文部科学大臣表彰を受けた都留市立図書館と甲斐市立竜王図書館ボランティア「アリスの部屋」、全国優良読書グループに選ばれた南アルプス市立わかくさ図書館ボランティア「おはなしの会ムーミン」への表彰伝達披露を行いました。
 その後、記念講演では、講師に画家・絵本作家・鳥の巣研究家の鈴木まもる氏をお迎えし、「絵本と鳥の巣のふしぎ-鳥の巣が教えてくれること」と題しご講演いただきました。また、午後からは2つの分科会が行われました。


記念講演「絵本と鳥の巣のふしぎー鳥の巣が教えてくれること」

〈講師〉鈴木まもる氏(画家、絵本作家、鳥の巣研究家)

 画家、絵本作家であり、鳥の巣研究家という一面もお持ちの鈴木まもる氏。講演では、ご自身の創作活動にまつわるエピソードや所有する鳥の巣についてなど、多岐にわたるお話をうかがうことができました。
 ご自身の絵本の創作方法として、自分で話を作り絵も描く場合と、別の作家が作った話に絵を描く場合の2つの方法があり、その違いについてお話しされました。ページをめくったときにどう見えるかを重視しているということで、作成したダミー本(絵本の設計図のようなもの)をお持ちいただき、さらに、絵本『みんなあかちゃんだった』(小峰書店 2000年)の元となった子育て日記の実物も見せていただきました。絵本は様々なことを知る入口であるというお話しや、絵本作家がもどかしさを感じる場面についても触れられました。
 つづいて、鳥の巣研究家になった経緯や鳥の巣のお話がスタート。ある日偶然、自宅の近くで鳥の巣を発見したことが鳥の巣研究家への道の始まりでした。鳥の巣は鳥の種類や環境によって材質や形が違うことや、造形的な面から巣を見ていくと鳥や自然のことがわかるようになり、それが面白いと鈴木氏。また、巣作りが苦手な雄鳥がいるというお話には会場から笑い声が聞こえ、話の節々にユニークな表現を入れてのご講演は、終始飽きることがなく、みなさん聞き入っていました。
 絵本と鳥の巣の共通点として、形は違えども生きものが元気に生きること、命に繋がるということに気付いたそうです。また、いろいろな生き方、価値観、尺度があることを尊重し温かく見守ることが出来る世界であってほしい、そのためにもいろいろな本を選べ、手渡せる環境をつくってほしいとのメッセージをいただきました。
 ホワイトボードに絵を描きながら、また鳥の巣を見せていただきながら、時には参加者もまきこんでのご講演は、大変充実した内容でした。

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第1分科会 「"場"としての図書館の可能性を考える」

事例発表1 丸山高弘氏(山中湖創造館指定管理者統括責任者)
事例発表2 松田彰氏(神奈川県大和市立図書館館長 日本図書館協会認定司書第1196号)
課題提起・講義 河本毬馨氏(山梨英和大学人間文化学部助教)
ディスカッション(登壇者3名による)


 まず「コロナ禍の図書館の休館事情」について会場に問いかけ、河本毯馨氏からデジタル化の導入が進んだ中で物理的な図書館の意味、場所の必要性について課題提起がありました。
 事例発表1では、山中湖情報創造館の丸山高弘氏にお話いただきました。
 山中湖情報創造館は早い段階で指定管理制度を導入した図書館で、かつて長野に存在したマルチメディアコンテンツに関する施設「まつもと情報館」を参考に「情報館」の名が付けられました。従来の図書館としての機能も有することから、両者の機能を持ち合わせた施設として2004年に「図書館の名を持たない図書館」が生まれたとのことです。最近では図書館のメタバース化など、図書館に足を運ばなくても図書館サービスが利用できるような取り組みも始められ、将来的にはアバターライブラリアンによる読書案内なども検討しているということでした。
 つづいて事例発表2では、2016年に開館した「大和市文化創造拠点シリウス」について、松田彰氏にお話いただきました。
 みんなの居場所となることを目指していきたいという点から、シリウスでは従来の図書館にあるような細かなルールで縛られることなく過ごせるように≪マナー以上ルール未満≫の考え方での運営を心掛けているとのこと、また大和市が掲げる「健康都市やまと」の目標に対し、シリウスは「健康都市図書館」としての機能も果たしていて社会的健康をも満たす図書館として、館内では毎日さまざまな文化活動を実施しているそうです。
 事例発表の後、河本氏より「場としての図書館」についての講義がありました。
 情報技術が発達したことにより、電子書籍などのメディア資料が増えてきたこと、またこれによって図書館に来館する必要性について問われることとなり、アメリカを中心に「図書館消滅論」が囁かれてきた中で、物理的な図書館の存在意義について主張する手立てとして、利用者重視の考え方がうまれ、館内にカフェやグループでの学習スペースを設置する図書館が増えたということです。また、昨今、新型コロナウィルス感染症により休館を余儀なくされた図書館ですが、アフターコロナで徐々に利用者が図書館に戻ってくるようになったのは、図書館という"場"が人々の生活に必要だと信じられているからではないかと河本氏。
 最後は3名の講師によるディスカッションを行い、多岐にわたるお話を伺うことができました。
 また河本氏からの「電子書籍が増えていく中で、物理的な図書館の図書館員としてはどういったスキルが求められているだろうか」という問いかけに対して、松田氏からは「コミュニティづくりの場としての図書館と、従来の図書館機能としての図書館は、重なる部分もあるが両立するのは難しい」とした上で「まずは挑戦してみることが大事」とお話がありました。
 丸山氏は「図書館員が地域コミュニティに積極的に参加することで、地域コミュニティの人が図書館に来てくれるようにもなる。カウンターだけでなく、仕事の時間として外に出られるようになるといい」と話されました。最後に河本氏は「図書館がきっかけになり人と人を繋げることが図書館が集う場となるために重要なことだ」とのお話でこの時間を結びました。

 

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第2分科会 「図書館に来てみない? -児童・生徒へのアプローチ-」

「図書館で会おう!読もう!遊ぼう!-勝沼図書館カムカムクラブの20年の歩み-」

〈講師〉青柳啓子氏(甲州市立勝沼図書館司書)※青柳氏の「柳」は、木へんに「夕」+ふしづくり

 遊びが最大の学びになるという考えのもと、本を読んで様々な文化を体験する、会員制のカムカムクラブ。会員制にしているのは、読書へのアニマシオンを効果的に行うためという理由からとのことです。『読書へのアニマシオン』(M.M.サルト/著 柏書房 2001年)というスペイン発の本から示唆を受けています。本を読むこと、郷土を知ること、図書館を使うことという3つの柱を活動方針としています。「指導する大人は知識を教える人ではなく子どもの言葉を引き出す、本と子どもの仲介役」という言葉が非常に印象的でした。カムカムクラブの1年間の運営と活動の記録の詳細をご紹介いただき、また"ふしぎ駄菓子屋銭天堂"でアニマシオンを行った後、子どもたちが考えたオリジナルのお菓子のアイディアを展示した"カムカム堂"が会場内に展示されました。子どものグループ活動、特別な図書館活動を始めるなら図書館スタッフ全員の協力が必要なので、理解を得られる機会をぜひ作ってほしいというお話もありました。最後に、質問にもお答えいただき、実際にアニマシオンを行ってみたいという方へのアドバイスをしていただきました。


「YAと楽しむ、集い繋ぐYAサービス~ヤングアダルト&アート・ブックス研究の事例から」
〈講師〉大江輝行氏((一社)日本子どもの本研究会研究部会「YAA!」共同代表、元・自由の森学園中学校高等学校図書館司書)


 日本子どもの本研究会の1つの研究部会、主に中高生の読書について探求しているヤングアダルト&アートブックス研究部会で研究してきた事例をご紹介くださいました。
 YAは以前より幅が広がり、中学生・高校生をメインに、大学生・大学院生、さらに29歳くらいまでをYAのサービス対象ととらえた方が実態に合っているという概念が広がっているそうです。2017年、日本子どもの本研究会が発足して50年目に、中高生の読者を対象に専門に研究する部会、YAA!(ヤングアダルト&アート・ブックス研究部会)が発足しました。YAA!の特色として中高生が企画・運営・宣伝に参加するという仕組みを生み出し集いの場を創り出している、このことが公共図書館のYAサービスなどに何らかのヒントになるかもしれないということから、読書イベントへのYAの参加というお話をしていただきました。    
 YAA!の活動は、1つはYAブックスとYAアートブックスを見つけ出してYAA!と共に楽しむ会、2つ目はYAにとって心地よい居場所を探求する会とのこと。具体的には月1回YAA!カフェを開催しており、これはYAが運営に直接参加していることが特徴です。
 また最後に質問のあった、学校図書館の生徒へのアプローチの仕方については、生徒の声をつかみ応えること、先生方とコミュニケーションをとることで図書館への導きになるのではないかというお答えをいただきました。

 

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各部会の活動について

児童奉仕研究部会

 児童奉仕研究部会は、子どもの読書活動の充実とその普及を図ることを目的として活動しており、地域ごと5ブロックに分かれて図書館の児童サービスに関わる研究を行っています。
 今年度は、ほぼ全てのブロックが研究部会を対面で実施しました。また、コロナ禍で停止していた「統一テーマ」が昨年度中に検討され、今年度からは部会全体のテーマを毎年一つ決め、各ブロックがそれに沿ったテーマを設定し研究を進める「全体テーマ」へと変わり、新たにスタートしました。
 今年度は、全体の研究テーマを『YA(ヤングアダルト)』とし、各ブロックの研究テーマは、Aブロックが「YA向けブックリスト」、Bブロックが「YAブックリスト『生きる』」、Cブロックが「ティーンを取り巻く環境(LGBTQ、ヤングケアラーなど)」、Dブロックが「中高生をとりまく社会問題」、Eブロックが「YA向け展示について」として実施しました。
 令和6年2月15日(木曜日)に笛吹市スコレーセンターにおいて、各ブロックの研究成果を報告する全体集会を開催しました。同日に実施した学習会では、甲州市立勝沼図書館司書の青柳啓子氏を講師に迎え、「短歌を使ったアニマシオン」と題しご講義いただきました。前半はヤングアダルトサービスについてお話しいただき、後半は、短歌を用いたYA対象のアニマシオンワークショップ。座学と実践を通しての学びは、1年間YAをテーマに研究してきた部会員にとって大変貴重で実りある時間となりました。
 研究部会の対面での開催により、相互の意見交換が深まり、より良い研究ができたと実感しております。今後も、さらなる研究を重ね、子どもの読書活動に努めていきたいと思います。
                                 ※青柳氏の「柳」は、木へんに「夕」+ふしづくり


全体集会(総会)
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学習会(ワークショップ時)
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地域資料研究部会

 地域資料研究部会は、山梨県にかかわる地域資料の取り扱い方などに関する研究協議を行い、その成果を公表することによって、地域資料の保存、利用提供等、図書館サービスの質的向上に資することを活動の目的としています。
 今年度はまず、7月20日(木曜日)に総会及び第1回研修会を開催しました。はじめに総会では、昨年度の報告と今年度の活動について協議しました。その後、山梨マークの作成に関する研修を行いました。また、昨年度更新した「人物資料リスト」に関する事前調査をもとに、その活用方法についての情報共有を行いました。
 第2回研修会は、12月22日(金曜日)に開催しました。「地域資源を掘り起こし・育み・伝えるということ」と題し、南アルプス市教育委員会文化財主事の保阪太一氏より、市全体を博物館と見立てた「南アルプス市ふるさと〇〇(まるまる)博物館」の取り組みについて、ご紹介いただきました。
そのなかで、人々がもつ記憶やモノにこそ地域らしい歴史資源があること、博物館では、さまざまな活動や住民の皆さんとのつながりのなかから歴史資源を掘り起こし、皆の目に触れるようにすることで、ふるさとを誇りに思う"心"と"人"を育てることにつながるのだとお話いただきました。
 今後も地域資料に関する講義や事例発表等の研修会を開催し、情報交換を行っていきたいと考えています。


読書推進研究部会

 読書推進研究部会は、読書推進に必要な調査及び研究を行い、学校図書館及び読書や書籍に関係する諸団体と協力・連携し、県全体の読書活動の充実と推進を図ることを目的に、平成25年度設置されました。
 主な活動としては、これまでの山梨県読書推進運動協議会の業務を引き継いだ「こどもの読書週間」「読書週間」の行事報告や「敬老の日におすすめする本」「若い人たちにおすすめする本」の推薦、優良読書グループ推薦等を行っています。また、公益社団法人読書推進運動協議会からの機関誌「読書推進運動」、ポスター、ちらしの配布も行っています。

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令和5年度県内事情

新館建設等の動き

  • 7月15日、富士川町立図書館が富士川地方合同庁舎1・2階に新設開館した。延床面積は910㎡、蔵書数は約5万冊である。

市町村立図書館の動き

  • 北杜市では2022年度より開催していた図書館適正配置等検討委員会で、市内8館ある公共図書館を3館に集約、学校図書館と連携することなどを盛り込んだ提言書を7月にまとめた。

  • 市川三郷町では12月に行財政改革推進計画を公表し、市内3館ある公共図書館を1館に集約する方針を示した。

  • 上野原市立図書館では2022年度から開始した移動図書館について、4月から専用の移動図書館車「リンデン号」を導入し、巡回ステーションも増設した。

  • 甲府市、笛吹市、甲州市、富士河口湖町の各図書館で、LED化や空調設備改修による工事で休館期間を設けた。

  • 甲府市立図書館では2022年に導入した電子書籍サービスについて、図書館利用者カードがなくても、市内小中学校の生徒が一人一台利用するタブレット端末で閲覧できるようにするサービスを開始した。

県立図書館の動き

  • 「やまなし読書活動促進事業」の一環として、11月には宮部みゆき氏を、2月には中沢新一氏を迎え、金田一秀穂館長とのトークショーなどを行った。

  • 新型コロナウイルス感染症の影響で各回個別開催していた館長講座を4年ぶりに連続講座として開講した。

  • 11月には「第10回贈りたい本大賞」の表彰式を開催した。3,875点の応募作品から大賞3点などを決定した。

  • 2月、点字つき絵本や布の絵本など、障がいなどにより、紙に書かれた文字を読むことが難しい子どもが読めるように工夫された「バリアフリー絵本」を集めた「りんごの棚」を館内に設置した。

  • 2月、放送番組専門のアーカイブ施設「放送ライブラリー」が保存・公開している山梨関係のテレビやラジオ番組23作品を、館内パソコン席で視聴できるサービスを開始した。

大学図書館の動き

  • 「図書館総合展2023地域フォーラム」の「フォーラム in 都留文科大学」が6月に開催された。第1部は司書課程を学ぶ学生のキャリアパスについて、第2部は地域の情報源としての図書館の重要性について、をテーマに事例発表等が行われた。

  • 山梨英和大学図書館学生サークルLIKEの 「らいくん文庫」は、8月に甲府駅北口で開催のフリーマーケット「ソライチ」に、9月に「こうふのまちの一箱古本市」にそれぞれ出店し、古本販売やブックカバー作りなど読書推進のイベントを実施した。

  • 都留文科大学付属図書館では1月、「デジタル時代の本を考える 人文科学・社会科学の学術出版の現状と課題」と題して、出版社役員らを招いた講演会を実施した。

新型コロナウィルス感染症への対応

  • 5月8日に感染症法上の位置づけが5類感染症へ移行したことを受け、多くの公共図書館において、滞在時間や座席数の制限などを段階的に解除し、お話会などのイベントも定員や回数を増やして再開している。

その他の動き

  • 関東地区公共図書館協議会、山梨県公共図書館協会、山梨県立図書館が共催し、6月28日・29日の2日間「関東地区公共図書館協議会研究発表大会」を山梨県立図書館において開催した。「地域の記憶-まもる、残す図書館」をテーマに東京大学名誉教授の根本彰氏による基調講演などを行い、オンラインも含め、延べ317人が参加した。

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令和5年度事業報告

総会

開催日:5月31日(水曜日)
場所:山梨県立図書館イベントスペース
議題:令和4年度事業報告及び決算報告・令和5年度事業計画及び予算
参加者:39名

第1回全体研修会

開催日:5月31日(水曜日)
場所:山梨県立図書館イベントスペース・オンライン(Zoomミーティング)
内容:講演「一人一人のベストミックスを目指して:デジタルを組み合わせた新しい図書館の姿を考えてみよう(信州の取組を事例に)」
講師:森いづみ氏(県立長野図書館 館長)
参加者:78名(内オンライン40名)
※山梨県立図書館主催・第1回図書館職員専門研修と合同開催

令和5年度関東地区公共図書館協議会総会・研究発表大会

開催日:6月28日(水曜日)・29日(木曜日)
場所:対面(山梨県立図書館 イベントスペース)とオンライン配信(Zoomウェビナー)によるハイブリッド開催
主催:関東地区公共図書館協議会、山梨県公共図書館協会、山梨県立図書館
テーマ:「地域の記憶~まもる、残す図書館~」

【1日目(6月28日)】
(1)基調講演 「図書館が地域アーカイブ機関であること」
   講師:東京大学名誉教授 根本彰氏

(2)事例発表1「山梨ふるさと記憶遺産プロジェクトについて」
   発表者:山梨県教育庁生涯学習課 主幹・社会教育主事 辻由樹氏、技師 佐久間絵梨氏

(3)事例発表2「ウィキペディアを活用した地域の記録発信の試み」
   発表者:北杜市図書館 高野裕子氏、細田恵子氏

【2日目(6月29日)】
(1)事例発表3「公民館を拠点とした地域住民による区誌制作の取り組み~図書館と連携した地域資料のデジタル化事業を核として~」
   発表者:駒ヶ根市立東伊那公民館 館長 春日由紀夫氏

(2)事例発表4「図書館資料を保存する-その意義と進め方」
   発表者:東京都立中央図書館 資料保全専門員 眞野節雄氏

(3)シンポジウム「地域の記憶をどのように守り、残していくのか」
   コーディネーター:根本彰氏
   シンポジスト:事例発表者
   (事例発表1関連登壇者:山梨県教育庁生涯学習課 課長補佐 伊藤伸二氏)

延べ参加者数:317名

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令和5年度第36回山梨県図書館大会

開催日:11月30日(木曜日)
場所:市川三郷町生涯学習センター
テーマ:「集う場としての図書館」

内容:
記念講演「絵本と鳥の巣のふしぎ―鳥の巣が教えてくれること」
  講師:鈴木まもる氏(画家、絵本作家、鳥の巣研究家)

第1分科会「"場"としての図書館の可能性を考える」

課題提起・講義「誰が集う場なのか:アフターコロナにおける場としての図書館」
河本 毬馨 氏(山梨英和大学人間文化学部助教)

事例発表1「図書館の名を持たない山中湖情報創造館という"場"づくり」
丸山 高弘 氏(山中湖情報創造館 指定管理者統括責任者)

事例発表2「7 年間で来館者数1800 万人~健康都市における市民の居場所づくり~」
松田 彰 氏(神奈川県大和市立図書館館長/日本図書館協会認定司書 第1196 号)

第2分科会「図書館に来てみない? -児童・生徒へのアプローチ-」

講演「図書館で会おう! 読もう! 遊ぼう!-勝沼図書館カムカムクラブの20年の歩み-」
青柳 啓子 氏(甲州市立勝沼図書館司書) ※青柳氏の「柳」は、木へんに「夕」+ふしづくり

講演「YAと楽しむ、集い繋ぐYAサービス~ヤングアダルト&アート・ブックス研究の事例から~」
大江 輝行 氏((一社)日本子どもの本研究会研究部会「YAA!」共同代表、元・自由の森学園中学校高等学校図書館司書)

参加者:237名

児童奉仕研究部会

全体集会

第1回:6月29日(木曜日)中央市立玉穂生涯学習館 視聴覚ホール
参加者:33名

第2回:2月15日(木曜日)笛吹市スコレーセンター 視聴覚室
参加者:31名

学習会:2月15日(木曜日)笛吹市スコレーセンター 視聴覚室

講義・ワークショップ「短歌を使ったアニマシオン」
講師 青柳啓子氏
参加者:31名

ブロック別研究会
Aブロック 5回
Bブロック 4回
Cブロック 4回
Dブロック 1回
Eブロック 4回

役員会 3回

 

地域資料研究部会

第1回:7月20日(木曜日)山梨県立図書館 多目的ホール

総会 令和4年度事業報告・令和5年度事業計画について
研修会
   ・山梨マークの作成について
   ・「人物情報リスト」の利用について 
参加者:28名



第2回:12月22日(金曜日)山梨県立図書館イベントスペース西・オンライン(Zoom)

研修会「地域資源を掘り起こし・育み・伝えるということ~ふるさと〇〇(まるまる)博物館の取り組み~」
講師:保阪太一氏(南アルプス市教育委員会文化財課 文化財主事)
参加者:61名(内オンライン42名)
※山梨県立図書館主催・第5回図書館職員専門研修と合同開催


刊行物

「山梨県の図書館2023-山梨県図書館白書-」
「こどもにすすめたい本2024」

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