第20回山梨県図書館大会報告
Step by step
−活用される図書館をめざして−

 平成16年10月29日、山梨県公共図書館協会、山梨県図書館協会、田富町、田富町教育委員会の主催で、「第20回山梨県図書館大会」を開催しました。当日は、県内の公共図書館、大学図書館、学校図書館、公民館図書室の職員、図書館ボランティアの方々や一般利用者の方たちなど、225名の方が参加されました。

 今大会のテーマは「Step by step−活用される図書館をめざして−」。情報化を始めとする急速な社会変化の中で、利用者のニーズに対応していくための図書館員の資質向上が課題となっています。このような状況をふまえ、今大会は「司書の資質向上」をコンセプトに、これからの図書館像、図書館職員像について考えようという内容で企画されました。

 午前中の基調講演では、ひつじ書房代表取締役社長でビジネス支援図書館推進協議会副会長の松本功氏に、「21世紀の図書館の可能性」というテーマでお話をいただきました。
 今まで起こらなかった現象が起き、情報が氾濫し必要な情報にたどり着けない、そんな21世紀という時代に、図書館はどのようなことができるのか。情報を消費するだけではなく、創造する人を支援する機関としての新しい図書館像とその可能性についてお話を伺いました。

基調講演の様子

 午後には3つの分科会が行われました。第1分科会「シンポジウム・これからの図書館員はどうあるべきか」では、すたま森の図書館(現在の北杜市すたま森の図書館)の笠井登館長をコーディネーターに、利用者の立場から、田富町立図書館ボランティア「みすず会」の長沼敏美さん、「ききみみずきんおはなしの会」の藤井明子さん、学校図書館と公共図書館に関わりのある山梨県図書館協議会委員の小宮山光江さん、司書の代表として、都留文科大学附属図書館の日向良和さんをシンポジストに迎え、日頃の活動や図書館での体験を通しての、図書館員に対する意見や期待、望ましい図書館員像などをお話いただきました。また、会場の参加者の方たちとの活発な意見交換も行われ、みなさんが図書館に対して大きな期待を寄せていることを実感しました。
 第2分科会「図書館員のスキルアップのために」では、笛吹市石和図書館の神宮寺隆さん、山梨県立図書館の木美和さんから、日頃図書館内で行っている研修会や日常業務の中でのスキルアップ実践事例が、また、山梨学院大学総合図書館の赤池京子さんからは、図書館の自主研究グループ「LiNK」の活動事例が報告されました。
 第3分科会「IT技術と図書館員」では、山梨県立図書館の山田あやさんから「山梨県立図書館デジタルアーカイブ推進事業」について、山梨大学附属図書館の北原夕里歌さんから、オンライン情報を活用したサービスの実践事例、山中湖情報創造館の丸山高広さんからはデジタル・ライブラリアンとしてITを活用した日常業務や情報発信の事例が発表され、参加者の方たちと一緒に図書館員に必要なITスキルを考える機会となりました。

 また、第20回の節目となる今回、大会の最後に「大会アピール」が採択されました。「今後とも新しい時代に向けて発展する県内図書館活動の担い手として努力すること」を参加者全員で宣言して、会を閉じました。


基調講演「21世紀の図書館の可能性」ひつじ書房代表取締役社長 松本功氏

大会アピール


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「山梨県公共図書館協会報」No.23