第20回山梨県図書館大会アピール

アピール文の朗読



大会アピール

 山梨県図書館大会は、本日、第二○回という節目を迎えました。
 昭和五十九年、県立図書館を会場に開催された第一回大会は、石和町立図書館の新設開館にはじまる、まさに本県公立図書館の限りない発展の可能性を予感させる中で、その産声を挙げたものでしたが、その後、新しい図書館の建設の機運が盛り上がる市町村を順次開催地に選び、回を重ねてまいりました。
 第一回大会当時の県内の公立図書館は、県立一館、市町村立図書館は、全六四自治体で十一館の計十二館という状況にありました。
それが、現在、誕生したばかりの笛吹市を加えると、一○市、二二町、十五村の計四七自治体のうち、二七市町村に図書館が設置され、公立図書館活動のバロメーターとされる設置率は五七%を越えました。地域館、分館を含めた公立図書館数は四三館となり、公立図書館活動進展のモデルとして、全国に注目される存在となっております。
 しかし、私たちは、今、その歩みを止めることはできません。
急激に進行した市町村合併は、図書館設置率を大幅に押し上げましたが、それが住民と図書館の距離を縮めるという結果にはつながっていません。また、設置自治体の姿勢とも関係して、運営・サービスの両面における図書館間の格差が拡大する様相が顕著に現れてきています。さらに、厳しい財政状況のもとでの自治体運営の影響を受け、資料費の削減や専門職員である司書職の配置転換など、今後の公立図書館活動の方向に懸念を生じさせるような動きも見られます。
 学校図書館、大学図書館の現況にも厳しいものがあります。学校図書館への司書教諭の配置は、これまでの長年にわたる運動の成果として評価されますが、司書教諭の位置づけ、役割の明確化、学校司書との関係など、難しい課題が数多く残されています。。地域への開放を掲げる大学図書館とて例外ではありません。自立した経営を求められる大学にとって、地域社会との密接な関係は不可欠な要素になっています。その場合、大学図書館が接点としての役割を果たす必要があります。
 このような状況を受けて、今、私たち図書館関係者が心しなければならないのは、図書館を取り巻くこれらの課題解決のためには、「司書職」をはじめとする図書館職員のあらゆる面での全体的なレベルアップです。
 今大会のメインテーマである「ステップ・バイ・ステップ ― 活用される図書館をめざして」は、私たち図書館関係者が、自ら取り組まなければならない課題そのものといえます。
 さて、こうした動きの中で、新しい県立図書館の実現が現実味を帯びてまいりました。新しい県立図書館は、甲府駅北口の県有地に、全く新しいコンセプトによる複合施設として計画されると聞いております。
 私たちは、県内図書館界の進展に欠かせない要件として、現在の県立図書館の状況の改善を切に要望してまいりました。新しい県立図書館機能を発揮する新施設の一日も早い実現を望み、県内図書館関係者が一致して支援・協力することを、ここにあらためて表明します。
 私たちは、新県立図書館実現の暁には、県立図書館を中心とした「山梨県図書館システム」ともいうべき、揺るぎない県民への図書館サービス網が形成されることに期待を抱いております。
 第二○回山梨県図書館大会を、県内図書館活動進展の新たな第一歩をしるす記念大会と位置づけ、参会者一同で、今後とも新しい時代に向けて発展する県内図書館活動進展の新たな第一歩をしるす記念大会と位置づけ、参加者一同で、今後とも新しい時代に向けて発展する県内図書館活動の担い手として努力することを宣言して、大会アピールとします。

    平成十六年十月二十九日

第二○回山梨県図書館大会



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「山梨県公共図書館協会報」No.23