図書館サービスのさらなる充実を願って

山梨県公共図書館協会 会長 日向敏彦

 ここ数年の図書館界をめぐる激しいうねりの中で、平成16年度も県内の公共図書館には、大きな進展と変化がありました。昨年4月の敷島町立図書館(甲斐市立敷島図書館)のリニューアルオープンに始まり、小淵沢町立図書館、山中湖情報創造館の開館に加えて、町村合併に伴う図書館の整備充実等です。
 このように県内の公共図書館の整備が進み、充実していくのとあわせて何より心強いのは、それぞれの図書館が創意工夫をこらした積極的な住民サービスや、学校等への支援を展開していることです。
 具体的には、多くの図書館が読書グループやボランティアの協力を得て行っている子どもの読書推進活をはじめとして、最近では、障害者や高齢者のための大活字本の設置、また、宅配サービスや公共施設への図書の一括貸出など、いわゆるアウトリーチ・サービスを行う図書館も増えてきました。学校や学校図書館との連携協力にしても、子どもの読書指導とは別に、学校司書等を対象とした研修会や連絡会、さらに進路学習の一環として実施している中高生の職場体験学習の受入れなど、連携協力分野は学校の教育活動にまで及んでいます。
 全国的に高い評価を得ている「山梨県図書館情報ネットワークシステム」を利用した図書資料の相互貸借は、平成15年度も大幅な伸びとなりました。貸出・借受ともそれぞれ前年度比4,611冊、1,589冊の増加となったほか、レファレンス件数も1,400件を超える増加となっています。これは、県内の図書館利用者に相互貸借システムの利便性が認められてきた証左であり、各自治体のきめ細かな巡回サービスと、限られた予算の中で経費の節減に御苦労いただいている図書館職員各位のご努力によるものであることは言うまでもありません。
 このように図書館サービスが年々充実する一方で、さまざまな指標のもとに公共施設の事業評価が求められようとしています。図書館においても自己点検とサービスの質が問われる時代にはいっています。カウンター業務をとおして、利用者の声を聞き、資料についての理解を深め、得た情報や知識を職員間で共有化することが、新たなサービスの展開につながるように思います。
 広く社会のニーズに応え、行動する図書館をめざして、さらに発展することを期待いたします。


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「山梨県公共図書館協会報」No.23