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山梨県公共図書館協会会報 第34号

-目次-

 人と人、人と地域の「つながり」を生む公共図書館を目指して
 山梨県公共図書館協会 会長 羽田 孝行
 平成28年度山梨県図書館大会報告
 大会テーマ「人と地域を支え、ともに成長する図書館」
 各部会の活動について 
 児童奉仕研究部会、地域資料研究部会、読書推進研究部会
 平成28年度 県内事情
平成28年度事業報告 事務局だより

人と人、人と地域の「つながり」を生む公共図書館を目指して

山梨県公共図書館協会 会長 羽田 孝行



  本年度の山梨県図書館大会のテーマは、「人と地域を支え、ともに成長する図書館」でした。図書館を考える際に、人や地域との「つながり」に視点を定めたこのテーマは、これからの公共図書館の進むべき道を考える上で、示唆に富むテーマであったと思っています。
  さて、四半世紀前を振り返ってみますと、1991年、バブルの崩壊が次第に目に見えるようになった頃、いわゆる「失われた20年」が始まっていました。失われた20年のなかで、我々は何を失い、日本にはどのような変化が起こっていたのでしょうか。経済成長は鈍化し、所得が低迷。一企業の寿命は平均30年程度と言われ始め、終身雇用制が徐々に変化、雇用も流動化し、長時間労働が日常化していきました。格差が広がりを見せ、生活の余裕は失われ、少子化が進行しました。
  
失われた20年をどう取り戻し、どう乗り越えていったらよいのでしょうか。我々公共図書館ができることを考えてみたいと思います。
  
私の愚息が大学生だった頃、よく「うちのバイト先は、ゆるいよ」と、満足そうな顔をして言っていました。私には、この「ゆるい」という言葉が理解できませんでした。「ぬるい」なら分かる。しかし、「ぬるい」ではなくて「ゆるい」と言うのです。自分の考えで動く自由が保障されながら、なにかしらつながりを意識できる状態ということでしょうか。
  
しかし、この「ゆるい」は、何も今に始まったことではなさそうです。
  
『荘子』に、「君子の交わりは、淡きこと水のごとし」という言葉があります。紀元前、既に、荘子は「ゆるい」つながりを、「最高」のつながりとして意識していたのです。
  
地域の公共図書館が、そんな場所であることはできないのでしょうか。
  
図書館の自由が、個人の内面の自由と呼応しあいつつ、「淡如水」のような「ゆるい」つながりが地域の公共図書館の中に生まれ、20年のうちに失われたものを取り戻し、そして乗り越える基地となるよう、公共図書館同士の「つながり」を十分に生かしながら取り組んでいくことができたならば、というのが最近の私の考えです。
  
もうすでに、人と人、人と地域の「つながり」を意識した取組を、各公共図書館では始めています。朗読会、講演会はもとより、音楽会、ビジネス支援、調べ学習コンクール、図書館での婚活、相続の相談会など、人と人、人と地域の「つながり」を意識した取組は、枚挙に暇がありません。
  
これらの活動が、さらに広がりと奥行きを見せ、全県的な取組となり、公共図書館が、人と人、人と地域の「つながり」を生む場所、「つながり」をゆるく感じとることのできる場所として、人々に自然に意識してもらうことができるようにしていきたいと思っています。そのために、公共図書館同士という「つながり」の中で、それぞれの図書館が、全県を意識しながら、力強く仕掛けていきたいと思っています。ご協力ください。

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平成28年度第30回山梨県図書館大会報告

大会テーマ「人と地域を支え、ともに成長する図書館」

大会概要

記念講演

第1分科会

第2分科会

※講師等の発言は、大会当日1回限りを前提とした発言内容を実行委員及び事務局が要約したものです。
  転載・2次利用は固くお断りいたします。
 

大会概要

  平成28年11月30日(水)、第30回山梨県図書館大会が、山梨県公共図書館協会・笛吹市・笛吹市教育委員会の主催により、笛吹市スコレーセンターを会場に開催されました。この大会は、図書館関係者だけでなく日頃から読書活動に携わっている人、また本や読書、図書館に関心のある人などが一堂に会して読書や図書館について考えるもので、当日は175名の参加を得て、充実した研修会となりました。
  
今年度は、人や地域に寄り添い、つながり、支えていくために、図書館に必要とされているものは何か、さらに図書館が身近になるための一歩を探るべく、「人と地域を支え、ともに成長する図書館」を大会テーマに掲げました。
  
開会式では全国優良読書グループとして選ばれた、南アルプス市立図書館ボランティア「上八田くれよんの会」の活動が紹介され、山梨県公共図書館協会会長より表彰状と記念品の伝達がありました。その後、山梨県立図書館館長の阿刀田高氏による記念講演が、午後からは2つの分科会が行われました。




記念講演 「図書館ルネッサンス

〈講師〉山梨県立図書館 館長 阿刀田 高 氏

   記念講演では「図書館ルネッサンス」と題し、小説家で山梨県立図書館館長の阿刀田高氏にお話していただきました。

   最初に、自身の少年期の読書体験についてお話させていただく。戦中戦後の非常に厳しい時代、本などなかなか無かったため、1冊の本をボロボロになるまでみんなで貸し合って読んでいた。そのような状況の中、中学校に入学すると学級文庫を作ろうということになり、私が委員に任命された。私は大学卒業後に国立国会図書館に11年間勤め、現在は山梨県立図書館館長に就任するなど、人生のところどころに図書館の仕事との関わりが点在しているのは不思議なことだと感じている。
   
学級文庫に予算が付いて新しい本が買えることになった時、藤原てい著『流れる星は生きている』を選んだ。これは著者の実体験に基づき、満洲の気象台に勤めていた夫と離れて、大変な苦労をして日本に引き揚げる母子の記録で、ベストセラーになった感動作である。作中に登場する著者の息子の一人である藤原正彦氏は私の高校の後輩であり、また著者の夫の新田次郎氏は私が直木賞を受賞した際の選考委員で、私を直木賞に強く推薦してくれたこともあり、このご家族とは妙な因縁を感じている。
   
当時愛読していたのは自宅にあった落語全集や野村胡堂の『銭形平次捕物控』などで、それらを読むことで自然と江戸時代や明治時代の風俗を学ぶことができた。そしてそれが、後に小説家になった時にとても役に立ったと思う。
   
高校時代、私は下宿をしており、昼休みに学校図書館で新聞を見ながら、ファンである阪神タイガースの前日の試合内容を想像するのが日課であり唯一の楽しみであった。また、国立国会図書館に勤めていた当時、1ヵ月ほど休館せざるをえなくなり、それに対して一部の利用者が団体を作って抗議に来たことがあった。10年ほど前に女優の高峰秀子さんと対談した際には、学校に行けなかった少女時代の高峰さんは百科事典の存在を知り、そこから教養を得ていて、それが高峰さんにとっての学校であったという話を聞いた。これらの話は、はっきりと見えないけれども図書館を必要としている人がいて、図書館が「こういうものがあります」と公にするだけでそういった人が近付いてきて、その人なりに図書館を利用し、それがその人の喜びや糧となり得る場合があるということだ。そしてそういう人を目ざとく見つけ、さりげなく応援してあげたりその喜びを助長してあげるというようなことも、図書館の大切な機能である。
   
私は常々、図書館にとって大切なのは一番目が「人」、二番目が「本」、三番目が「建物・施設」であると考えている。綺麗で明るくて暖かいところに豊富に良い本が揃っているに越したことはないけれども、本の好きな子はどんな場所でも平気で読むものであり、また本というのは二度読めば二度、三度読めば三度新しい価値を得られるものである。一番大切なのは、そこに携わる人間で、本が好きで本のことを良く知り、一緒に語り合い楽しみ合える人、そして共通の目的を抱いてくれる人がいることである。図書館員というのは、どういうサービスを必要としているかわからない利用者が大勢いる中で、じっくりと相手の様子を見極めて必要に応じて実力を出すという、派手ではないけれどもとても知的な職業である。また、「人」の中には利用者も含まれており、図書館を良くしていくには利用者の民度が高くなければならない。
   
読書は楽しいもの、面白いと思うものを読むのが一番だが、本当の読書とはどういうものか考えてみると、1冊の本を最初から最後まで、なおかつ著者と対話したり論争したりするようなつもりで読むことではないか。著者はなぜそれを書こうと思ったのか、どのようにしてそこに考え至ったのか、どこにポイントを見出したのか、結論としてどこにたどり着いたのかというプロセスを、全て読んで初めてその本を読んだということになるのではないか。近頃はIT機器を使って読書をする人も増えているが、自分の知りたい情報だけを簡単に抜き出して手に入れることができ大変便利ではあるものの、一部分だけを見て全体の道筋を見ていないように思う。面白い読書ももちろん良いが、時には本格的な読書もしないといけないのではないだろうか。
   
活版印刷が発明されて以来、紙に字を印刷したものによって文化を培ってきた私たちだが、ここに来て大きな変化に直面している。それはIT機器の登場である。これによって図書館がこの先どうなっていくのか、はっきりとはわからないけれども、最後まで紙の本と付き合っていかなくてはならないのは図書館である。出版社や取次店、町の本屋など本を取り巻く状況が良くない中で、図書館は注目を浴び、機能を発揮している部分もあり、少し右肩上がりかもしれないと感じている。図書館はIT化の最先端に対応していかなければならないと同時に、一方で旧態依然とした図書館を維持し、見えない知的要求にも対応していかなければならないなど、多様性が求められている。これをルネッサンスと捉えて頑張って欲しい。
 

第1分科会「災害と図書館~その役割と復興を考える」

〈講師〉アカデミック・リソース・ガイド株式会社 リレーションズ・ストラテジスト 鎌倉 幸子 氏

   第1分科会では鎌倉幸子氏を講師にお迎えし、東日本大震災の話を中心に、いつ何が起こってもおかしくないこの日本において、災害時の図書館がどうであったか、事前に何を備えておけばいいのかなどについてお話いただきました。災害が起きてから何かやろうとしても遅いので、平時の今、何を備えるかが防災・減災に繋がると感じていらっしゃるとのことでした。

   山梨県は、風水害や雪害などの一般災害、東海地震・南海トラフ地震・首都直下地震による地震災害、富士山の噴火による災害、土砂災害などが想定される。県が出している『地域防災計画』に目を通し、どういう災害が起きるかシュミレーションし、それに合わせて資料を用意するなど普段から意識しておく必要がある。また市町村ごとの防災計画もあるので、自分が住む自治体の防災計画も見ておくと良い。
   
東日本大震災の経験から考えたこととして、災害発生時に任務となる業務はあらかじめ把握しておくと良い。実際に災害が起きてしまうと、マニュアルが探せなくなったりインターネットが使えなくなったりする可能性がある。災害が起きた時に自分のいる部署が何をすればいいのか、さらに図書館単体で考えるのではなく、他部署の手伝いをしなければならない場合なども考慮して心の準備をしておくと良い。
   
災害予防の観点から図書館にできることは色々ある。計画策定の段階で、レファレンスとして過去の資料やデータを提供することもできる。普及や予防対策として、展示をする、図書館だより等を作成する、トークイベント等を行うといったこともできる。さらに、今までに震災を経験した自治体の図書館には震災関係の文庫やコーナーを作っているところがたくさんあるので、それらの図書館と情報を共有し、どういう資料を充実させればいいのか聞くと良い。
   
次に、災害時の図書館の事例を紹介する。まず、平時からのネットワーク構築が大切であるということで、東日本大震災における宮城県名取市の事例を紹介する。姉妹都市交流や企業との連携が盛んだった名取市図書館はそういった所からの支援を得て、移動図書館と書庫を利用した臨時開館を5月に実現した。交流自治体・姉妹都市・災害協定を結んでいる自治体等、また企業や民間団体等との連携は、平時のうちに確認しておくことが大事である。
   
岩手県大船渡市では、市立図書館がホール等との複合施設であったため5ヵ月間避難所として使用されており、その間図書館は開館できず職員も避難所対応に入っていた。複合施設の中に図書館がある自治体の方はそういったことも意識してほしい。
   
復旧においては避難者への情報提供が必要だが、熊本地震における菊陽町図書館では、図書館の前に掲示板を置き、そこに町役場から出ている情報を掲示していた。これは宮城県の気仙沼市図書館が行っていたことを覚えていたためで、他の図書館の経験はぜひ活かしてほしい。
   
また鳥取県中部地震では、鳥取県立図書館が、地震発生から3時間後の午後5時に県内全ての市町村図書館の被災状況をウェブサイトに載せた。普段から密にやりとりをしているので情報を素早く集められたのであって、そこを疎かにしていてはこのようにならなかったということである。
   
次に、東日本大震災後に行っていた移動図書館の活動についてお話する。支援物資として本は避難所に届いていたが、子供のいない避難所に絵本が届いたり、子供の多い避難所に小説が届いたりと、上手くマッチングできていなかった。また、避難所宛なのか個人宛なのか、届いた箱が誰の物かわからないと避難者は手に取れないので、箱に「避難所の本です。借りたら元に戻してね。」などと一言表示することで、安心して借りてもらうことができた。本というのは物である以上、何かしら人の手を介さないと届かないということを実感した。
   2011
年5月から岩手県の図書館の被害状況調査やプロジェクトの立ち上げを行っていたが、人と直接触れ合い、本の貸出だけでなく住民や学校のニーズを汲み取ることができるのは移動図書館であると感じ、活動を決めた。図書館ではなく本をプレゼントすれば良いと言われたこともあったが、それに反対したのは避難所の親御さんたちであった。震災から3ヵ月経ち、支援を受けて当たり前になっている子供たちを日常に戻したいという理由からだった。借りたら返すこと、みんなの物は大事に扱うこと、そういう習慣を取り戻せる場所が図書館であった。
   2011
年7月に移動図書館車の運行を開始した。一人でも誰かと一緒でも、その日の気分で楽しんでいただきたいというメッセージを込めて「立ち読み お茶のみ おたのしみ」というキャッチコピーをつけた。移動図書館車が来るとその脇にテーブルなどをセッティングしておしゃべりの場にする方々がいたり、子供たちのストレス解消の場にもなっていた。当初2年間活動する予定だったが、現在6年目に入っている。また、この移動図書館で使う本は、基本的に再開した地元の書店で購入している。
   
震災から6年経ち、この経験をただの物語として終わらせてほしくないというのが被災された皆さんの思いである。失った悲しみを教訓として活かしながら、山梨県に何か災害が起きた時にそのように失われる命がないことを願っている。

  

第2分科会 「障害者差別解消法は人と地域を支え図書館を成長させるカギ」

〈講師〉静岡県立大学短期大学部社会福祉学科 教授 立花 明彦 氏

   我々が暮らしている地域社会には様々な人が住んでおり、地域に根付いているべき図書館は人々により成長し、人々は図書館により成長します。4月から施行された障害者差別解消法が、地域に住む人々、そして図書館を一層発展させていくことになるであろう、また、そうなってほしいとの思いを込めて、立花明彦氏にお話いただきました。

   図書館の自由に関する宣言の中に、「図書館は資料収集の自由を有する」「図書館は資料提供の自由を有する」、つまり全ての資料を全ての人にという、非常に素晴らしい文言がある。公共図書館は税金によって作られているので、その地域に暮らす人々に公平・平等にサービスが提供されなければいけない施設だが、そのサービスを十分に受けることができていない人々がいるのではないか、図書館は知らず知らずのうちに特定の人々を門前払いにしてはいないかということを、まず振り返ってみて欲しい。
   
日本における公共図書館の障害者サービスは1970年に始まったと言われているが、国連が1981年を国際障害者年とし、国連加盟国に対して障害者への施策を進めようという声掛けをした。これをきっかけに一気に注目され、報告書や関係図書が出版されるようになった。
   
さらに国連は2006年に障害者の権利条約を作った。この条約には2つの特徴がある。1つめは「他の者(障害をもたない人)との平等を目指す」という点で、障害をもつ人も障害をもたない人もこの社会に住む構成員であって、同じ権利を持っており、教育・雇用・様々な社会参加などの機会が平等に与えられなければいけないということである。ここで大事なのは「合理的配慮の否定を含む」という文言で、「合理的配慮をしないということは差別したことになる」ということが、この権利条約ではうたわれている。
   
2つめは「新しい障害者観を定義」という点である。従来の障害者観は、障害は個人の責任であり、障害をもっている本人に全ての問題解決を求めるというものであった。それに対して、障害は障害者個人の問題ではなく社会の問題であるから、社会全体でユニバーサルな社会に変えていこうという考え方を、障害者の権利条約が規定したことには非常に大きな意味があった。日本における障害者差別解消法は、この障害者の権利条約を批准するために作られたが、2013年に作成し、今年からスタートさせたのは早いとは言えず、むしろ他国に比べると遅いのである。
   
では、障害者差別解消法の施行を受けて公共図書館ではどのような「合理的配慮」をすればいいのか。障害者差別解消法の基本方針の中で、車椅子利用者のために段差に携帯スロープを渡す、高い所に陳列された商品を取って渡すなどの「物理的環境への配慮」、筆談・読み上げ・手話などによるコミュニケーション、分かりやすい表現を使って説明をするなどの「コミュニケーションの配慮」、障害の特性に応じた休憩時間の調整などの「ルール・慣行の柔軟な変更」といった例が示されている。これらが全てではないけれども、もうすでに行っていることや、マンパワーで身近にできることが意外と「合理的配慮」として位置付けられる。
   公共図書館における障害者サービスの考え方について、日本図書館協会では、サービスの対象者は障害者だけではなく、「図書館利用に障害のある人」であると明確にしている。例えば日本語のわからない外国人にとって、図書館を利用するには障害があるということだ。図書館というのは、障害者差別禁止法が規定する以上のもっと大きな理念・原則をもって図書館サービスを展開していかねばならないということを、障害者差別解消法ができる前にすでに言っている。また、昨年の12月に日本図書館協会は、障害者差別解消法を受けて「図書館利用における障害者差別の解消に関する宣言」を行い、利用者と手を携えて取り組むことを決議した。
   
次に、障害者差別解消法ができたことにより図書館界はどんな動きをしているのか、全国の公共図書館の実例を、2016年の新聞記事からピックアップして紹介する。サピエという電子図書館があるが、これまで公共図書館の加入は非常に悪いと言われていたが、障害者差別解消法ができてから、徐々に増えていることがわかる。山梨県内では、韮崎市立大村記念図書館のバリアフリー寄席の記事が興味深い。
   
図書館は、その利用にあたって3つの障害を抱えている。それは「施設・設備の不備等の物理的な原因によるバリア」、「資料がそのままでは利用できないバリア」、「コミュニケーションがとれないバリア」だ。これらのバリアを解消するために、図書館は何らかの合理的配慮をする、あるいは環境整備をすすめる必要がある。例として、障害者サービスにおいては関西でトップクラスである、枚方市立中央図書館を紹介する。
   
さらに図書館に大事にしてほしいこととして、図書館で企画、実施している様々なイベントに、障害をもつ人が来ることを想定した方策を立て、PRをしてほしい。その際、あまり障害を意識しすぎない表現の工夫が必要である。また、緊急時の案内が誰にも行きわたるような設備にしてほしい。東日本大震災時の障害者の犠牲率は障害をもたない人の倍であったと言われており、急いで整備する必要がある。
   
地域があってそこに住む人々が図書館を使うことで図書館が成長し、図書館が成長すればそれは地域や人々に還元されていくと私は考えている。この講演が明日からの新たな活動の一助になることを願っている。
 

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各部会の活動について

児童奉仕研究部会

   児童奉仕研究部会は、子どもの読書活動の充実と普及を図ることを目的に活動しています。地域ごとA~Eブロックに分かれ、それぞれに設定したテーマを研究します。年度内の部会はAブロック(郡内地域)とB~Eブロック(国中地域)に分かれて、5~6回開催し、年度末に研究報告と学習会を行っています。
   
今年度の各ブロックの研究テーマはAブロック「小学生向けブックトーク資料研究、ミニブックトークの作成」、Bブロック「生きもの以外が主人公の絵本リストの作成及びミニ工作」、Cブロック「乳幼児のおはなし会プログラムの作成」、Dブロック「季節ごとのわらべうたの研究」、Eブロック「おはなし会についての研究」でした。B~Eブロックの部会では、「特色あるおはなし会の紹介」「工作の紹介」といった実践発表や「おいしい絵本/食育の本」というテーマで推薦図書の選定も行いました。
   
平成29年2月23日には、甲斐市敷島総合文化会館において全体集会を実施し、各ブロックの研究成果を報告しました。ブックトークの実践やわらべうたの実演など、児童サービスの各側面からの発表はどれも自館での活動に役立つものでした。
   
同日に実施された学習会では、敷島子育て広場ファミリーサポートセンター ファミリーサポートアドバイザー 杉原なほみ氏を講師に、手袋人形の制作及び実演指導をしていただきました。参加者一人ひとりがおはなし会などでも使用する機会の多い手袋人形を制作し、その演じ方についても丁寧にご指導いただきました。
   
児童奉仕研究部会は、部会開催ごとに会場となる館を変え、運営に多くの人間が携わります。また、研究自体は勿論のこと、他館の職員との情報交換を行うことのできる貴重な場です。図書館の規模や運営形態を問わず、児童奉仕は図書館活動の重要な柱の一つです。世代を問わず活字離れが叫ばれる中で、子どもと彼らを取り巻く人々への働きかけを行い、子どもが良い本と出会うきっかけを生み出す事が我々の使命であると考えます。これからも、部会を通じて得たことを自館での児童奉仕活動に還元し、より活発な活動に務めていきたいと思います。
  

地域資料研究部会

   地域資料研究部会は、山梨県にかかわる地域資料に関して、図書館等の施設における取り扱い方などに関する研究協議を行い、その成果を公表することによって、地域資料の保存、利用提供等、図書館サービスの質的向上に資することを活動の目的としています。
   今年度は、2回の研究部会を開催し、郷土の人物や歴史について学ぶ機会を設けました。第1回は山梨県立博物館学芸員の小畑茂雄氏を講師に、「山梨近代人物館と郷土の先人たち」と題し、若尾逸平や小林一三など、山梨ゆかりの人物についてお話を伺いました。山梨近代人物館の見学も行い、様々な人物について知ることができました。第2回は、甲斐黄金村・湯之奥金山博物館で、学芸員の小松美鈴氏を講師に、「甲斐の金山と甲州金」について研修と見学を行いました。県内の金山の概要、甲州金についての解説、金の採取方法などについての興味深い内容で、楽しく学ぶことができました。
   
また、今年度は「人物資料リスト」の追加と修正を行い、リストを更新しました。山梨県立図書館ホームページ内の「山梨ポータル 発見!やまなしナビ」でご覧いただけます。
   
今後も会員から寄せられたご意見を参考に、図書館サービスに役立つ内容の研修や活動を行っていきたいと考えています。 
 

読書推進研究部会

    読書推進研究部会は、読書推進に必要な調査及び研究を行い、学校図書館及び読書や書籍に関係する諸団体と協力・連携し、県全体の読書活動の充実と推進を図ることを目的に、平成25年度に設置されました。
    主な活動としては、これまでの山梨県読書推進運動協議会の業務を引き継いだ「こどもの読書週間」「読書週間」の行事報告や「敬老の日におすすめする本」「若い人たちにおすすめする本」の推薦、優良読書グループ推薦等をおこなっています。また、公益社団法人読書推進運動協議会からの機関誌「読書推進運動」、ポスター、ちらしの配布も行っています。

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平成28年度 県内事情

市町村立図書館の動き

  • 甲府市では、図書館創立90周年記念事業として、9月から12月にかけ展示や朗読会、講演会などのイベントを開催した。
  • 山梨市では、新図書館が11月3日にリニューアルオープンした。面積は旧図書館の約2.2倍となり、最大収蔵冊数は18万冊。自動貸出機、BDSゲートを導入し、貸出冊数を10冊に増やした。
  • 甲斐市では、11月よりビジネス支援事業として、求人情報冊子の作成や情報提供を始めたほか、ビジネス支援書籍、情報提供コーナーを設置した。
  • 北杜市では、金田一春彦記念図書館の職員が図書館の外でイベントを開催する「杜のでまえ図書館」を実施。宿泊施設や特別養護老人ホームでおはなし会や朗読会などを開催した。8月には、金田一春彦関連資料のデジタルアーカイブを一部先行公開した。
  • 甲州市では、4月に第二次甲州市図書館基本計画を策定し、利用者の快適な空間作りや、子どもの読書推進などを重点施策として掲げた。11月5、6日には、勝沼図書館20周年アニバーサリー「カムカムフェスタ2016」を開催した。
  • 韮崎市では、『調べる学習コンクール』など子どもの読書活動の実践が評価され、4月23日文部科学大臣表彰を受賞した。5月には、市出身である大村智氏のノーベル医学生理学賞受賞を記念し、館名を「韮崎市立大村記念図書館」に変更した。
  • 南アルプス市では、10月1日にリニューアルオープンを行った。櫛形図書館の名称を中央図書館に変更したほか、中央図書館内にふるさと人物室を新設。また、市内全図書館に県内で初めて読書通帳の印字機を導入した。
  • 富士河口湖町では、新館オープン10周年記念のコミュニティーフェスタを開催した。

県立図書館の動き

  • 貸出資料を地元の図書館で返却できる「広域返却サービス」実施の準備を進めており、5月10日から一部の市町村立図書館での試行を開始した。
  • 11月18日からFacebook、Twitterを開始し、幅広い情報発信に努めている。
  • 「やまなし読書活動促進事業」の一環として、6月から8月にかけて、複数の書店と県立図書館を利用しスタンプカードを完成させる「やま読ラリー」を開催した。
  • 6月から9月にかけて、「第3回贈りたい本大賞」を実施した。応募総数3,201点から、大賞5点を決定し、11月11日表彰式を開催した。

学校図書館の動き

  • 甲府市では、小中学校17校の学校司書が2017年3月末で雇用上限の8年となるため、雇止めとなる。これに対して、「学校図書館司書の継続勤務を求める会」は、市教育委員会に継続雇用を求める要望書と、2月24日までに2万2066筆の署名を提出したが、市教育委員会は要望を受け入れられない考えを示した。
     

その他の動き

  • 県教育委員会では、「やまなし読書活動促進事業」として、10月2日に「ビブリオバトルやまなし2016」、2月19日に「ブクブク交換@やまなし」を開催した。 

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平成28年度事業報告 事務局だより

総会

開催日:5月31日(火)
場所   :山梨県立図書館 多目的ホール
議題   :平成27年度事業報告及び決算報告 平成28年度事業計画及び予算
参加者:50名

第1回全体研修会

開催日:5月31日(火)
場所   :山梨県立図書館 多目的ホール
講演   :「真田丸を語る」
講師   :平山 優氏(山梨県立中央高等学校教諭 NHK大河ドラマ『真田丸』時代考証)
参加者:62名
 

平成28年度第30回山梨県図書館大会

開催日:11月30日(水)
場所    :笛吹市スコレーセンター
テーマ  :人と地域を支え、ともに成長する図書館
内容    :
 ・ 
記念講演「図書館ルネッサンス」 山梨県立図書館 館長 阿刀田 高
 ・ 分科会1 「災害と図書館~その役割と復興を考える」
      講師 : 鎌倉 幸子 氏(アカデミック・リソース・ガイド株式会社 リレーションズ・ストラテジスト)
 ・ 分科会2 「障害者差別解消法は人と地域を支え図書館を成長させるカギ」
      講師 : 立花 明彦 氏(静岡県立大学短期大学部教授)
参加者:175名

第2回全体研修会

開催日:2月23日(木)
場所    :県立図書館 多目的ホール
内容    :ワークショップ 「利用者を引きつけるWebコンテンツを考える」
講師    :田中 均 氏(昭和女子大学現代教養学科准教授)
参加者:20名

地域資料研究部会

第1回 7月 6日(水)  講演「山梨近代人物館と郷土の先人たち」
               講師 : 小畑 茂雄 氏(山梨県立博物館学芸員)
               山梨近代人物館見学

第2回 1月24日(火)  研修「甲斐の金山・鉱山と甲州金」
               
講師 : 小松 美鈴 氏(甲斐黄金村・湯之奥金山博物館学芸員)
               
甲斐黄金村・湯之奥金山博物館見学

児童奉仕研究部会

全体会 第1回  6月16日(木) 笛吹市スコレーセンター
      第2回  2月23日(木) 甲斐市敷島総合文化会館

A支部        6回

B・C・D・E支部  5回

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