? 烽火(のろし)の古い絵図が見たい。武田信玄が通信手段に使っていたというのを聞いたことがあるので、その関係の資料にないだろうか。

【回答】

武田関係の資料にはないが、江戸中期の百科事典『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』に古い烽火の絵がある。

【調査過程】
■郷土資料の『烽火台をたずねて』(小泉義幸/著・発行 1978)を確認するが、絵はなし。
■山梨県の城に関する資料『山梨県の中世城館跡』(山梨県教育委員会/編 山梨県教育委員会 1986)『定本山梨県の城』(萩原三雄/責任編集 郷土出版社 1991)などを確認するが、烽火の絵はない。
■武田信玄の関係資料の、主に図や絵の多い資料や、兵法関係の資料にあたる。
■『武田信玄城と兵法』(上野晴朗/著 新人物往来社 1986)に飛脚篝火(ひきゃくかがりび)についての説明などはあるが、図はなし。
■『甲陽軍鑑大成』第3巻索引編(酒井憲二/編著 汲古書院 1994)で「のろし」をひき、本文編の該当ページを確認するが、図はない。
■インターネットで「のろし」「図」などで検索し、「須玉歴史資料館」のサイト内「烽火(のろし)武田氏の通信ネットワーク」のページ(http://meiji.stm.ne.jp/rekisi/sutama/norosi.html)をみつける。その中の説明で「『甲陽軍鑑』には武田氏の軍法の通信方法の一つとして飛脚篝火の名で紹介されているが、具体的な構造や上げ方などの記述のある武田時代の記録はない」とある。また、図として「和漢三才図会」の絵が紹介されていた。
■当館所蔵の『和漢三才図会』4(寺島良安/著 平凡社 1986)『日本庶民生活史料集成』第28巻(谷川健一/[ほか]編集 三一書房 1980)で烽火の絵を確認。
■利用者へ、信玄関係の資料ではないが『和漢三才図会』という江戸時代中期の百科事典に烽火の絵があると伝えると、それでよいとのこと。

【キーワード】
■のろし■篝火■通信■信玄■兵法■

【参考資料】
◆『和漢三才図会』4(寺島良安/著 平凡社 1986)
◆『日本庶民生活史料集成』第28巻(谷川健一/[ほか]編集 三一書房 1980)

【調査にあたって】
時間があれば、『甲陽軍鑑』や「信玄全集末書」(『甲斐叢書』5巻などに所収)などを詳しく調査するところだったが、1時間以内に回答がほしいという急ぎのレファレンスであったため、主だった武田氏の兵法資料や図録の多い資料に見あたらない時点で武田関係の資料の調査を一時やめ、他資料の手がかりを得るためにインターネット検索に切り替えたところ、有効な情報を得て時間内に回答することができた。

作成日:2009/3/13