第15分科会 健康情報

テーマ「認知症と図書館のバリアフリー」

 団塊の世代が75歳以上となる2025年には認知症の高齢者が700万人になると見込まれている。超高齢社会をむかえ、我が国では2019年に「認知症施策推進大綱」を策定した。本大綱では「共生」と「予防」を施策の柱に据えている。

 「共生」とは認知症の人が尊厳と希望を持って生きる、また認知症があってもなくても同じ社会でともに生きる、という意味で、「予防」とは「認知症にならない」という意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる・進行を緩やかにする」という意味であるとされる。

 これからは多職種・多機関が連携し、誰もが安心し、認知症当事者本人が望む住みなれた場所で尊厳を認めながら生活できる社会の構築が必要である。この大綱では「認知症に関する情報を発信する場として図書館も積極的に活用する」ということも明言されている。

 医療や介護従事者は、直接的に当事者やその家族をケアするサービスを行っている。しかし当事者とその家族は自分の住むまちで生活をしており、交通機関や、金融、スーパー、公共機関等を利用している。図書館も日常生活の中で利用されている一つであると言えよう。

 さらに一昨年、読書バリアフリー法が施行され、誰でもが利用でき、資料や情報にアクセスできるような施策が推進されている。今後は図書館員だけではなく、医療や福祉の専門職とともに図書館の機能を活かしたサービスが展開されることになるであろう。

 本分科会では、図書館の有用性や期待する役割について専門職の立場から伺う。さらに、認知症という観点から図書館におけるバリアフリー化について考える機会とする。

 なお、2019年に設立された「日本認知症官民協議会」に日本図書館協会(認知症バリアフリー図書館特別検討チーム)は参加しているが、各参加団体の中での「日本図書館協会」の役割等についても触れる。

基調講演

竹原 敦 (群馬パース大学)
「図書館は認知症の人にとってバリアとなるか?~作業療法の観点から~」

基調講演

野口 武悟 (専修大学)
「図書館における認知症支援 -バリアフリーの観点から」

基調報告

田村 俊作 (慶應義塾大学)
「日本図書館協会の認知症への取り組み ~日本認知症官民協議会への参加を中心に~」