第11分科会 障害者サービス

障害者サービス(1) 利用者にとってアクセシブルな電子書籍とは

 読書バリアフリー法の施行や新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、電子書籍の導入を検討する図書館が増加している。電子書籍は将来的には誰もがアクセシブルに読める可能性があるが、図書館で提供している電子書籍の現状を見ると、アクセシブルでないものや、視覚障害者には利用が困難なものも多い。そこで、電子書籍はどこまで障害者が使えるように対応しているか、どこが不十分か、今後どのような方向に進んでいくのがよいかを利用者目線で考えていきたい。

 分科会では、講師による講演・事例発表のほか、質疑応答及び参加者との討議も行う。

 なお、この分科会はリアルタイム送信のみで行い、後日の視聴はできない。

基調講演

野口 武悟 (専修大学文学部 教授)
「アクセシブルな電子書籍の概要について」

野口 武悟

専修大学文学部ジャーナリズム学科長・教授、放送大学客員教授。
日本図書館協会障害者サービス委員。
主に公共図書館や学校図書館の障害者サービス、電子図書館サービスについて研究している。

事例発表

松井 進 (千葉県立西部図書館)
「電子書籍のアクセシビリティの現状について ~千葉県立西部図書館の取り組みを例に~」

プロフィール写真「松井 進 (まつい すすむ)」

松井 進 (まつい すすむ)

千葉県立西部図書館勤務、公共図書館で働く視覚障害職員の会(なごや会)事務局長。
日本図書館協会障害者サービス委員会委員。

公共図書館で障害者サービスの普及促進に取り組んでいる他、盲導犬に関する図書を執筆し、録音版、点訳版、大活字版、電子書籍版などの多媒体出版を行い読書のバリアフリー活動に取り組む。
また視覚障害当事者の立場から買う読書、借りる読書の実現と充実を目指して研究開発や普及活動に取り組んでいる。

実演

椎原 綾子 (目黒区立八雲中央図書館)
「電子書籍サービスのデモンストレーション アクセシビリティの観点から」

障害者サービス (2) 読書バリアフリー法における各図書館の役割

 読書バリアフリー法では、地方公共団体に「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」を定めることを求めている。この分科会では、都道府県立図書館の中で最も初めに基本計画を策定した、鳥取県立図書館にその概要をご報告いただく。また、全国の基本計画作成状況を踏まえ、日本図書館協会障害者サービス委員会で作成している「基本計画作成のための指針」について提案を行う。

 また、読書バリアフリー法では、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍の促進が求められている。これについて、EPUBアクセシビリティの国際標準化に取り組んでこられた村田真氏と、DAISYとEPUBアクセシビリティの国際標準規格化に取り組んでこられた河村宏氏による対談を行う。

基調報告

佐藤 聖一 (日本図書館協会障害者サービス委員会委員長 埼玉県立久喜図書館)
「障害者サービスのこの1年と読書バリアフリー法への取り組み」

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佐藤 聖一

日本図書館協会障害者サービス委員会委員長、埼玉県立久喜図書館バリアフリー読書推進担当。

視覚障害の図書館司書。研究テーマとして、「図書館の生涯サービス」「障害者と著作権法」「録音図書の政策と音訳技術」など

対談

村田 真 (慶應義塾大学政策メディア研究科 特任教授)
河村 宏 (特定非営利活動法人支援技術開発機構 副理事長)
「アクセシブルな電子書籍の目指すもの」

プロフィール画像「村田 真」

村田 真

慶應義塾大学政策・メディア研究科特任教授。EPUBアクセシビリティJIS原案

作成委員会委員長、日本DAISYコンソーシアム技術委員会委員長。XML, OOXML,
EPUBなどの国際標準化に従事。

プロフィール画像「河村 宏」

河村 宏

現職:NPO法人支援技術開発機構副理事長。東京大学総合図書館職員として障害者の支援と環境整備を推進。また、IFLA役員として国内外における図書館の障害者サービスの発展に努め、DAISYコンソーシアム創設に参画。同コンソーシアム理事、JLA障害者サービス委員会委員。

報告

福市 信 (鳥取県立図書館 情報相談課相談担当係長)
「『鳥取県視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する計画』について」

報告

小原 亜実子 (大阪府立中央図書館)
「『地方公共団体において「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画」を策定するための指針』について ~都道府県を対象に~」

分科会閉会の言葉(分科会開会の挨拶は、基調報告の初めにあります。)