第9分科会 図書館の自由

テーマ「図書館利用のプライバシー保護」

 「図書館の自由に関する宣言」では、利用者のプライバシー保護と知る自由の保障の観点から、利用者の秘密を守ることを謳い、令状にもとづく場合以外は利用者の読書事実を外部に漏らさないとしている。しかしながら、ここ数年いくつもの図書館が利用者情報を警察に任意提供している事実が、各地の新聞で報道された。また、最近では公共図書館でも、貸出履歴を保存する機能があるシステムを導入するところが増えてきている。図書館の中で、利用者のプライバシー保護に対する意識が薄れていたり、ICT化などに伴って変化していたりするのではないだろうか。

 本分科会では、宮下氏の講演で、そもそもなぜプライバシーを守らなければならないのかをあらためて学ぶとともに、弁護士の桝井氏と齋藤氏から、図書館が捜査関係事項照会に応じて利用者情報を提供していたことに対する札幌弁護士会の取り組みについて報告していただく。また、12日にはリアルタイムでオンラインによる研究協議を行い、講師と報告者を交えて、利用者のプライバシーを保護する意義について考える。

 なお、12日は9:00より事前収録した基調報告・講演・事例報告を視聴してから、引き続き研究協議をZoomミーティングにより行います。申込は不要ですので自由にご参加ください (大会参加IDが必要です)。

11月12日(金) 研究協議の日程

09:00 開会あいさつ、日程説明
09:03 基調報告 (事前収録動画の視聴 13:17)
09:17 講演 (事前収録動画視聴 1:01:15)
10:19 事例報告 (事前収録動画の視聴 19:29)
10:40 休憩
10:50 研究協議
12:00 終了予定

基調報告

西河内 靖泰 (日本図書館協会図書館の自由委員会委員長)
「図書館の自由・この1年」

プロフィール画像「西河内 靖泰 (にしごうち やすひろ)」

西河内 靖泰 (にしごうち やすひろ)

現在、日本図書館協会図書館の自由委員会委員長、多賀町生涯学習専門員。東京都荒川区の図書館員を経て、滋賀県愛荘町と多賀町の図書館長を歴任。広島女学院大学教員、下関市立中央図書館長を経て、多賀町立図書館長 (本年3月退任)。

講演

宮下 紘 (中央大学総合政策学部教授)
「プライバシーという権利 個人情報はなぜ守られるべきか」

プロフィール画像「宮下 紘 (みやした ひろし)」

宮下 紘 (みやした ひろし)

中央大学総合政策学部教授・博士 (法学)。専門は憲法,情報法。内閣府国民生活局個人情報保護推進室,ハーバード大学ロースクール客員研究員等を経て現職。主著として,『プライバシーという権利』(岩波書店・2021),『ビッグデータの支配とプライバシー危機』(集英社新書・2017),『事例で学ぶプライバシー』(朝陽会・2016)。

事例報告

桝井 妙子、齋藤 耕 (札幌弁護士会)
「図書館への捜査関係事項照会に対する札幌弁護士会の取り組み」

プロフィール画像「 桝井 妙子 (ますい たえこ)」

桝井 妙子 (ますい たえこ)

大阪府堺市生まれ。神戸大学法学部卒業、京都大学法科大学院修了。2016年札幌弁護士会において弁護士登録。札幌弁護士会憲法委員会委員。最近面白かった本は前田健太郎著「女性のいない民主主義」(2019年、岩波新書)。

プロフィール写真「齋藤 耕 (さいとう こう)」

齋藤 耕 (さいとう こう)

宮城県仙台市出身、東北大学法学部卒。2004年10月札幌弁護士会所属。現在、札幌弁護士会憲法委員会副委員長。元々歴史好きで、今は、古代史と中世史に関心があり、専ら関連書籍を収集している。

研究協議

11月12日(金) 10:50~12:00 オンライン
(研究協議は録画をして、大会申込者が期間中視聴できるようにする予定です)

(参照)

図書館の自由委員会のホームページ (http://www.jla.or.jp/committees/jiyu/tabid/182/Default.aspx)
本分科会のテーマ「図書館利用のプライバシー保護」に関連する、以下のような資料を掲載しています。

  • 捜査機関から「照会」があったとき
  • いわゆる「読書通帳」サービスについて:「図書館の自由」の観点から
  • マイナンバーカードの図書館利用について
  • デジタルネットワーク環境における図書館利用のプライバシー保護ガイドライン  など。

また、これまでの全国図書館大会の図書館の自由分科会の資料等も掲載しています。