第6分科会 図書館情報学教育

テーマ「学校司書モデルカリキュラムの質保証」

 2016年11月に文部科学省初等中等教育局長通知として公表された学校司書モデルカリキュラムについては、公益社団法人全国学校図書館協議会により2019年1月に「『学校司書のモデルカリキュラム』講義指針」が公開され、教育の内容としてはかなり明確なものとなっている。一方で、学校司書の養成は提供する大学が責任を負うものとなっており、国家資格である司書や司書教諭とはかなり異なるものとなっている。司書・司書教諭の場合には国家資格の養成課程としての届出作業を通じて文部科学省による教育内容に関する一定のコントロールが存在しているのに対して、学校司書モデルカリキュラムにはその種のコントロールがかなり弱いものとなるためである。

 さらに、司書・司書教諭・教職といった複数の教育課程から読み替えを行うことになるため、他の教育課程から科目を提供される。この時に、読み替え可能な科目提供となるための留意点を担当教員に認識してもらう不断の努力が必要になる。モデルカリキュラムについて科目提供開始時点の担当教員に正しく認識してもらったとしても、科目担当者の交代時には、どうしても元の科目の方の事情が優先されがちであり、学校司書の科目としての留意点は見落とされがちになるからである。従来の司書・司書教諭は読み替えが比較的少なく、また司書と司書教諭の間での読み替えが中心であるためこの種の問題はそれほど気にする必要はなかったので、この点も司書・司書教諭の教育課程とはかなり異なる。

 以上のように、学校司書モデルカリキュラムを実施していくためには、従来の司書・司書教諭課程以上に教育の質を維持していくための努力が必要である。この分科会では、学校司書モデルカリキュラムの実施状況と類似の教育課程での事例の把握を通じて、学校司書モデルカリキュラムが資格養成課程として適切な品質で提供されていくための必要な要素について考えていきたい。