? 静岡県に山梨県の飛び地があるそうだが、それはどこか知りたい。

【回答】

『山梨百科事典』によると「静岡県の清水市港町向島にある山梨県有地。付近4.4アールの地は1741(寛保1)年から甲州年貢米を富士川をくだし、江戸へ回送する船積みのため回米置き場を置いた場所。その後1876(明治9)年、富士川運輸会社が清水出張所を置き、沿岸回そう業を行ったなどの変換があって県有地として残った。現在は道路拡張用地となって2.060平方メートルが民間用地として貸し付けられ、同地の鈴与株式会社が県の委託を受けて管理に当たっており、北すみの民家裏に水揚稲荷(みずあげいなり)が祭られ、往時のなごりをとどめている。1961(昭和36)年12月に清水市によって「甲州廻米置場跡」の石碑が巴川の港橋畔に建てられた。」と記述がある。

【調査過程】
■地理に関することなので、まずは『日本歴史地名大系』19 山梨県の地名(平凡社 1995)と『角川日本地名大辞典』19 山梨県(角川書店 1984)にあたるが、静岡県に飛び地があるという記述は見つからない。
■同じく『日本歴史地名大系』22 静岡県の地名(平凡社 2000)にもあたってみるが、記述なし。
■インターネットのYAHOOで「山梨県の飛び地」と「静岡県」というキーワードで検索してみると、静岡県立清水東高校の郷土研究部の学校祭パンフレット(http://www.wbs.ne.jp/cmt/kiyokou/cl_kyou/toukai.htm)の中に、「甲州の米は富士川を川船で運ばれ、清水湊で千石船に積み込まれて江戸へ向かう。その積み込み場「甲州廻船置場」跡が港区一丁目の巴川左岸にあり、石碑が建つ。置き場の一部2060平方メートルは現在も山梨県の飛び地で、ここに住む十数軒は毎年借地料を山梨県に納めている」という記述があった。
■江戸時代に始まる富士川舟運に関連して清水湊にできた飛び地、ということなので、『山梨県歴史の道調査報告書』第19集 富士川水運(山梨県教育委員会 1991)や『富士川水運史』(青山靖著 地方書院 1959)にあたってみるが、清水湊に関する記述は見つからない。
■『山梨百科事典』(山梨日日新聞社 1989)を調べてみると、「清水港県有地」という項があり、詳しく記述されていた。

【キーワード】
■県有地■飛び地■清水市

【参考資料】
◆『山梨百科事典』(山梨日日新聞社 1989)

【調査にあたって】

作成日:2003/9/16