? 甲府城御金蔵破りについて、事件の概要を知りたい。

【回答】

甲府城御金蔵破りは「御城内御金紛失一件」ともいわれる。1734(享保19)年12月24日の夜、甲府城内にあった金約1400両が盗み出されたという事件である。甲府勤番支配2名が処分されたほか、事件当夜警備のため宿直していた勤番士らも職務怠慢や虚偽報告、賭博などの罪によって処分がなされた。犯人は高畑村次郎兵衛で、事件から9年後の1742(寛保2)年に逮捕され、市中引き回しの上磔刑となった。「甲金録」は、この事件を題材にして、勧善懲悪物語として江戸時代に書かれたもの。

【調査過程】
■江戸時代の事件とのことなので、甲府の歴史の関係資料にあたろうと思い、『甲府市史』通史編2巻「近世」(甲府市役所 1992)の目次を探す。第1章第5節3「御金蔵破りと綱紀粛正」の項目あり。
■関連で、「史料編」も確認。『甲府市史』史料編4巻「近世3」(甲府市役所 1987)に第8章第1節「甲府城御金蔵破り」がある。4点の古文書が翻刻されていた(翻刻されていた史料の原本は当館所蔵の甲州文庫と頼生文庫、若尾資料)。
■『甲府市史』通史編に記述のあった「甲金録」を探す。自館システムの資料名検索で「コウキンロク」を入力すると、甲州文庫に所蔵があることがわかる。
■甲府城の資料にもあたってみようと思い、『甲府城総合調査報告書』(山梨県教育委員会 1969)も見るが、記載はなし。
■『甲府城物語 −武田氏天目山に滅びず』(斎藤芳弘著 テレビ山梨 1973)には「ご金蔵破り」の項で10ページほど記載があった。

【キーワード】
■御金蔵破り■甲府城■御城内御金紛失一件■「甲金録」(コウキンロク)

【参考資料】
◆『甲府市史』通史編2巻「近世」(甲府市役所 1992)
◆『甲府市史』史料編4巻「近世3」(甲府市役所 1987)
◆『甲府城物語 −武田氏天目山に滅びず』(斎藤芳弘著 テレビ山梨 1973)
◆「甲金録」巻一〜巻六(出版社不明 1825)
◆「甲金録」巻七〜巻十(出版社不明 1825)

【調査にあたって】
この質問を受けたときにはこの事件のことを全然知らなかったのだが、調べていくと、『甲府の歴史』(坂本徳一著 東洋書院 1982)や『甲州風物誌・続』(上條馨著 柳正堂書店 1961)といった資料にも記述が出てきて、けっこう有名な事件であることがわかった。有名な事件であったので、資料も早く見つけられて幸運だった。ただ、有名であればあるほど提供する資料はこれでいいのかな、他にもあるのかな、という不安はある。

作成日:1997/11/26