? 坂本龍馬の許婚だったという千葉佐那の談話が様々な龍馬関係の資料に出てくるがこの記事の出所(資料)が分からない。千葉佐那と交流があった山梨県出身の小田切謙明に関係する資料に手がかりがないだろうか。

【回答】

小田切謙明ほか山梨県関係の資料には談話の出所については記載されていない。『日本奇談逸話伝説大事典』(志村有弘 松本寧至共編 勉誠社 1994)の「坂本龍馬」の項に「女学雑誌」352号に佐那の談話が載っているとある。

【調査過程】
■自館システムのレファレンスデータで「チバサナ」を検索したところ、以前「甲府に坂本龍馬の妻の墓があるときいたがどこか」という質問があり(『レファレンス事例集』2参照)、その際『小田切海洲先生略伝』(村松志孝編 海洲小田切謙明先生頌徳会 1936)や『坂本龍馬大事典』(新人物往来社 1995)などで回答していたので、これらの資料にあたると、『坂本龍馬大事典』の「千葉佐那」の項に、「女学雑誌」という雑誌に千葉佐那が龍馬と婚約したと語っているとの記述があった。しかし、巻号数は不明。
■そのほかの小田切謙明の伝記が載っている資料などにあたるが、千葉佐那について載ってはいても、談話に関わる明確な資料名の記述なし。
■自館システムで「ジヨガクザツシ」を書名検索し、創刊号の復刻版や『明治文学全集』32「女学雑誌・文学界集」(筑摩書房 1977)にあたってみるが千葉佐那の談話の記事は載っていなかった。しかし、『明治文学全集』の「月報75」に、『女学雑誌諸索引』(青山なを[ほか]著)という資料が発行されているという記事があった。当館では所蔵していない。
■『坂本龍馬大事典』に「婚約がどれほど現実性があるものだったか疑問視される」という一文があったので、『日本奇談逸話伝説大事典』にあたってみる。「坂本龍馬」の項に、佐那が「女学雑誌」352号に龍馬との結婚についての談話を載せているとあった。
■山梨県立文学館に問い合わせたところ「女学雑誌」の復刻版を所蔵していることがわかった。

【キーワード】
■坂本龍馬■千葉佐那■小田切謙明(オタギリケンメイ)■「女学雑誌」

【参考資料】
◆『坂本龍馬大事典』(新人物往来社 1995)
◆『日本奇談逸話伝説大事典』(志村有弘編 勉誠社 1994)

【調査にあたって】
小田切謙明に関係する資料に利用者が回答を求めてきたため、郷土資料で対応したレファレンスであったが、結果的には一般資料での回答提供となった。レファレンスを受けたとき、質問をキーワード化し、テーマを絞り込んで、一般的資料から専門的資料へと調査をしていくのだが、この事例の場合は、全く逆の流れとなった。レファレンスにあたっては、様々な角度からの検索方法を常に用意しておくことが重要であると実感した。
その後、「ザやまなし」(2010年3月号)の特集「坂本龍馬と山梨 上 佐那の愛」に山梨日日新聞の千葉さなのインタビュー記事が紹介された。“明治26年8月22日付けの山梨日日新聞3面」に掲載された「坂本龍馬氏の未亡人を訪ふ」の記事。記事は、同年9月2日刊行の「女学雑誌」にも掲載された”とある。(追記:2010/3/14)

作成日:2001/3/18