? 関東大震災で被災した学校の数を知りたい。新聞記事に「県震災統計」という資料の名をみかけたが、これに載っているのではないか。

【回答】

小学校では校舎が一部倒壊、大破したのが13校。また、小破のものは25校。公立中等学校では小破が3校。私立中等学校では小破が1校。県立学校では大破が3校、小破8校。合計53校が被害にあった。

【調査過程】
■「ケンシンサイトウケイ」を自館システムで書名、辞書(件名)検索したが未ヒット。
■『山梨県統計書』の大正期のものや、『山梨県史』資料編17(山梨県編 山梨日日新聞社 2000)にも震災被害の統計資料のようなものは載っていない。
■自館システムで「カントウダイシンサイ(関東大震災)」を辞書(件名)検索し、『大正山梨県誌』(佐藤源太郎編・発行 1927)『山梨県地震災害予想』(山梨県防災会議・地震部会 1976)『山梨の地誌研究』(甘利亀雄 1978)などを調べるが、詳しいものは載っていなかった。
■次に自館システムで過去のレファレンスデータを検索。「山梨県の災害史」についてのレファレンスがあり、このとき使用した『山梨県の気象百年』(甲府地方気象台百年誌編集委員会 1994)などを調べたが詳しくは載っていなかった。
■一般資料の中にないか探すことにし、もう一度「カントウダイシンサイ」を辞書(件名)検索し、『大正震災志』上(内務省編 内務省社会局 1926)を見ると県別に被害状況が非常に詳しく記されており、山梨県の学校の被害についても載っていた。

【キーワード】
■関東大震災■被災■学校

【参考資料】
◆『大正震災志』上(内務省編 内務省社会局 1926)

【調査にあたって】
質問者が「この資料(『大正震災志』)で十分です」と言ったことでその時の調査は終了してしまったが、その後、前述の『山梨県史』の解説部分に“山梨県蔵『大正十二年九月一日震災統計』”との記載を発見。この書名でもう一度検索したが、当館では所蔵しておらず、県の私学文書課で保存している資料であることを確認した。『山梨県史』にあたった時点でもう少し丁寧に調査していれば、より詳細な情報を提供できたかもしれない。資料を丁寧に調査していくことの重要性を再認識した。

作成日:2001/3/17