【回答】
【調査過程】
■『日本近代文学大事典』(日本近代文学館編 講談社 1977)の索引で「検閲」を引き、4巻の「発売禁止」の項をみるが、日本政府による検閲・発禁についての記載のみ。
■『戦後史大事典』増補縮刷版(三省堂 1995)で「検閲」の項を引くと、新聞・雑誌・書籍の出版検閲は、GHQが表現内容の審査のための基準を、「プレス・コード(SCAPIN33)」として、日本政府と各メディアに示したことなどがわかる。同書の「プレス・コード」の項を確認。
■『GHQ指令総集成』2巻(エムティ出版 1993)で「Press Cord for Japan(SCAPIN33)」を確認。『日本占領・外交関係資料集』第1巻(柏書房 1991)掲載の「新聞ラヂオ等ニ対スル取締ニツイテ」で「プレス・コード」の日本語訳を確認。
■自館システムで「検閲」を辞書(件名)検索。その中から該当のものをピックアップする。『閉ざされた言語空間』(江藤淳著 文芸春秋 1989)を見ると、「削除または掲載発行禁止の対象となるもの」などの記載あり。また、原爆に関する出版物の検閲についての資料の所蔵あり。
【キーワード】
■出版検閲■検閲■GHQ■プレス・コード
【参考資料】
◆『戦後史大事典』増補縮刷版(三省堂 1995)
◆『GHQ指令総集成』2巻(エムティ出版 1993)
◆『日本占領・外交関係資料集』第1巻(柏書房 1991)
◆『閉ざされた言語空間』(江藤淳著 文芸春秋 1989)
◆『原爆表現と検閲−日本人はどう対応したか−』(堀場清子著 朝日新聞社 1995)
◆禁じられた原爆体験』(堀場清子著 岩波書店 1995)
【調査にあたって】
「文学作品に対する検閲について」という依頼だったので、近代文学の事典からあたったが、明治から戦前の筆禍に関することが主で、GHQによる検閲については記載がなかった。そこで、近代史の事典からあたり直すことにした。自館システムで「検閲」という件名で検索すると、太平洋戦争中の日本政府による検閲に関する資料もヒットしてしまう。自分の専門分野以外の質問や初めての質問では、まず事典などで基本的な事項を押さえてから調査に取りかかることにしている。その方が、あちこち色々とひっくり返すよりは結果的には速くできるように思うのだが、ダイレクトに回答資料に行かないと、「大丈夫なのか」と不安になる利用者の方もいて、こんなときには自分の守備範囲の狭さを痛感させられる。
作成日:1999/12/11
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