? 石川啄木の「いのちなき砂のかなしさよさらさらと握れば指のあひだより落つ」の歌意と鑑賞を知りたい。

【回答】

歌意「命のない砂のはかなくも悲しいことよ。その砂を握ると指の間よりさらさらと砂が落ちるのである」。鑑賞「この一首は第三句の「さらさらと」という表現が効果的で、はかない砂に託して己が生命を哀惜する作者の虚無的な心情が歌われており、歌集『一握の砂』の書名を暗示する秀作である。」(『石川啄木(短歌シリーズ・人と作品10)』より引用。)

【調査過程】
■『日本名歌集成』(秋山虔ほか編 学燈社 1988)を見るが、該当なし。
■『現代短歌鑑賞辞典』(窪田章一郎,武川忠一共編 東京堂出版 1978)を見るが、該当なし。
■『日本秀歌秀句の辞典』(小学館 1995)を見る。この歌について記載はあるが、歌意や鑑賞については記載なし。出典が「一握の砂」であることがわかる。
■自館システムで「イチアクノスナ」で辞書(件名)検索するが、ヒットせず。
■『石川啄木(短歌シリーズ・人と作品10)』(岩城之徳著 桜楓社 1980)を見る。歌意と鑑賞あり。

【キーワード】
■石川啄木■「一握の砂」■いのちなき■短歌

【参考資料】
◆『石川啄木(短歌シリーズ・人と作品10)』(岩城之徳著 桜楓社 1980)

【調査にあたって】
"高校生らしき男性からの調査だったので、レファレンス・ツールで簡単に調べられるだろうと思い鑑賞事典を用いたが、該当の歌については掲載がなかった。短歌や和歌を調べるには、メジャーなものは鑑賞事典で調べられる。『日本名歌集成』は古事記・日本書紀から現代短歌まで2,007首について歌人ごとに解釈と鑑賞を掲載、付掲出歌索引。また『現代短歌鑑賞辞典』は近代・現代短歌を1,074首について歌人ごとに鑑賞を掲載。今回はそのどちらにも、該当がなかった(石川啄木のほかの歌は収録されていた)。『石川啄木(短歌シリーズ・人と作品10)』は全24巻。「秀歌鑑賞編」の項があり、巻末に初句索引。"

作成日:1997/10/7