? 女房奉書とはどのようなものか。また、その写真が見たい。

【回答】

女房奉書は古文書の形式の一つ。天皇や上皇の仰せを側近の女房(天皇の場合には勾当内待(コウトウノナイシ))が奉じた仮名書きの奉書。鎌倉時代中頃に始まり、室町時代ことに盛んになって様式化され、明治初年まで用いられた。女房奉書は、最初は女房の手控えとして作成されたが、やがて独立の文書として外部に発せられるようになった。女房奉書の写真は、『明治以前天皇文書の読み方・調べ方』に「後柏原天皇女房奉書」、『近世女人の書』に「後水尾天皇宸翰 女房奉書」、『日本の古文書』に「後奈良天皇の女房奉書」が掲載。

【調査過程】
■『国史大辞典』11巻(国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1990)を見る。「女房奉書」の項に「天皇や上皇の仰せを側近の女房が奉じた仮名書きの奉書」などの解説。また、「参考文献 相田二郎『日本の古文書』、佐藤新一『古文書学入門』、飯倉晴武『明治以前天皇文書の読み方・調べ方』」とあり。
■『国史大辞典』掲載の参考文献の所蔵を確認するため、自館システムで書名検索。記載の参考文献3点を所蔵しているとわかる。
■それぞれを見たところ、『明治以前天皇文書の読み方・調べ方』(飯倉晴武書 雄山閣出版 1987)に「後柏原天皇女房奉書」の写真あり。また、『日本の古文書』上(杉田二郎著 岩波書店 1978)に「後奈良天皇の女房奉書」などが載っており、女房奉書についての解説もあった。
■写真ならば、書道関係の本にもあるかと思い、「NDC728 書道」の書架に行く。変体がなを用いて和歌を書いたものの写真はあるが、「女房奉書」については『近世女人の書』(前田映子著 淡交社 1995)にのみ「後水尾天皇宸翰 女房奉書」の写真と解説あり。

【キーワード】
■女房奉書(ニヨウボウホウシヨ)■古文書■天皇

【参考資料】
◆『明治以前天皇文書の読み方・調べ方』(飯倉晴武書 雄山閣出版 1987)
◆『日本の古文書』上(杉田二郎著 岩波書店 1978)
◆『近世女人の書』(前田映子著 淡交社 1995)

【調査にあたって】
"『国史大辞典』(国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1979〜1993)は全14巻 別冊1(3分冊の索引)。日本歴史の全領域を網羅し、さらに考古学・人類学・民族学・民俗学・国語学・国文学・宗教・美術などの隣接する分野、主要な典籍・古文書・記録や、書誌学・古文書学・史料学・史学史関係の項目も採取している。約42,000項目を五十音順に配列、豊富な図版・諸表・系図を用い、また多く参考文献を付す。"

作成日:1998/1/21