? 大正年間の朝日新聞社の航空事業で、日本初の訪欧飛行に成功した飛行機の名前や形と、そのとき行われた懸賞について知りたい。

【回答】

"1925(大正14)年、朝日新聞社が日本初の訪欧飛行に成功。機種はフランス製のブレゲー19型一半葉機2機、名称は一般から募集したは「初風」、「東風(コチカゼ)」と命名。7月25日東京発、シベリア経由でモスクワ、ベルリン、パリ、ロンドンを訪問した後、10月27日終点のローマに到着。総飛行距離16,565km、総飛行時間110時間50分。乗員は「初風」が安辺浩操縦士、篠原春一郎機関士。「東風」が河内一彦操縦士、片桐庄平機関士。懸賞については、朝日新聞社広報部を紹介。"

【調査過程】
■自館システムで「アサヒシンブンシヤ」を辞書(出版者)検索し、朝日新聞社の社史を探す。『朝日新聞社史 大正・昭和戦前編』(朝日新聞百年史編修委員会編 朝日新聞社 1991)を所蔵していることがわかる。
■『朝日新聞社史 大正・昭和戦前編』に航空事業についての記載あり。大正14年に行われたこと、機種、名称などがわかる。懸賞については記載なし。
■『日本航空機大図鑑』上巻(小川利彦著 国書刊行会 1993)を見る。大正13年の項に「朝日新聞訪欧連絡使用飛行機「初風」,「東風(コチカゼ)」号長距離連絡機(中島ブレゲー19A2改)」の解説とカラーイラストあり。
■「538 航空宇宙工学」の書架に行き、古い飛行機の写真が掲載されていそうな本を探す。『日本の名機百選』(木村秀政,田中祥一共著 中日新聞本社 1985)に写真、解説あり。
■懸賞について、朝日新聞社に電話にて問い合わせる。広報部の方より「非常に興味深い内容なので、その方と直接連絡を取りたい」とのこと。その旨依頼者に連絡し、朝日新聞社に連絡をしてもらうこととした。

【キーワード】
■航空機■朝日新聞社■初風■東風

【参考資料】
◆『日本の名機百選』(木村秀政,田中祥一共著 中日新聞本社 1985)
◆『朝日新聞社史 大正・昭和戦前編』(朝日新聞百年史編修委員会編 朝日新聞社 1991)
◆『日本航空機大図鑑』上巻(小川利彦著 国書刊行会 1993)

【調査にあたって】
依頼者の方は、「図書館でこんなこと調べてもらえるかしら。」と当初心配な様子だった。懸賞については所蔵資料では回答できなかったので、朝日新聞社に問い合わせをした。電話で調査をお願いした朝日新聞社の広報部の方は、子どものころ甲府に住んでいたことがあると言い、非常に親切に対応してくれた。このレファレンスにはちょっとしたドラマがあり、依頼者の方にも大変感謝された。

作成日:1997/8/28