? 竜安寺にある絵銭の形をした手水鉢に書かれている文字の意味を知りたい。

【回答】

石造手水鉢は、円い石の中央に口を書き、「吾唯知足(ワレタダタルコトヲシル)」の4字を図案化している。寺伝によると「仏遺教経」の「知足(分に安んじてむさぼらない)の者は、たとえ貧しいといえども富めり。不知足の者は富めりといえども貧しい」とある教えを採り入れたもの。

【調査過程】
■『造園修景大事典』8巻(造園修景大事典編集委員会編 同朋舎出版 1980)の「竜安寺庭園」の項を見るが、枯山水について記述のみで手水鉢についての記述なし。また5巻で「手水鉢」の項を見るが、竜安寺の手水鉢につての記述なし。
■『京都大事典』(佐和隆研ほか編 淡交社 1984)の「竜安寺」の項を見る。「方丈の北東に茶室蔵六庵があり、その前に水戸光圀寄進と伝えられる「吾唯知足」と刻んだ石造手水鉢がある。」と記載あり。
■自館システムで「リヨウアンジ」を辞書(件名)検索する。『竜安寺石庭』(大山平四郎著 講談社 1970)と『宇宙の庭』(明石散人,佐々木幹雄共著 講談社 1992)がヒットするが、どちらも枯山水の石庭について書かれたもの。『宇宙の庭』に手水鉢の文字の読みについて「ワレタダタルヲシル」との記述があるのみ。
■「NDC291 地理.地誌.紀行(日本)」の書架に行く。旅行ガイドなどで、竜安寺について詳細な記述があるものを探す。
■『昭和京都名所図絵』4巻(竹村俊則著 駸々堂出版 1983)に、「吾唯知足」の意味の記述あり。

【キーワード】
■竜安寺■手水鉢■徳川光圀■吾唯知足

【参考資料】
◆『昭和京都名所図絵』4巻(竹村俊則著 駸々堂出版 1983)

【調査にあたって】
竜安寺の庭園について書かれているものは、枯山水の石庭についての記述ばかりで、手水鉢について、その言葉の意味まで書かれているものは、なかなか見つけられなかった。図書館に寄せられるレファレンスは、このようにレファレンス・ツールでは回答できないものが多く、参考文献も見つけられないまま、書架で直接探すことも多い。

作成日:1997/8/15