? 「田の面に秋の風落ちて 野辺の琥珀を照らすかな 刈り干せ刈り干せ稲の穂を」という詩の全文と作者が知りたい。

【回答】

島崎藤村の『落梅集』に収録された「労働雑詠」の「朝」「昼」「夜」のうちの「昼」にあたる詩。

【調査過程】
■判明している詩の一部分の言葉から検索できる資料として、『日本秀歌秀句の辞典』(小学館 1995)にあたるが、該当するような詩は収録されていない。
■質問者がこの詩を初めて目にしたのは、昭和19年10月末、中国広西大学構内であったということから、明治から戦前までに絞って資料にあたることにした。『鑑賞現代詩』1〜3(筑摩書房 1982)、『集成・昭和の詩』(大岡信編 小学館 1995)等にあたるが、手がかりはつかめない。
■中国で見た詩であるということから、『中国名詩選』(松枝茂夫編 岩波書店 1983)『漢詩をよむ秋の100選』(石川忠久著 日本放送出版協会 1996)『中国名詩鑑賞辞典』(細田三喜夫編 東京堂出版 1977)等にあたるが、見つからない。
■絞り込んでいくような手がかりが全く見つからないため、インターネットで詩中の語句等を検索してみるが、何も引っかかってこない。
■詩の内容から検索してみることし、「農業」「農民」「詩」というキーワードに該当する資料を探してみる。『日本農書全集』(農山漁村文化協会 1982)、『農民詩紀行』(松永伍一著 日本放送出版協会 1974)にあたるが、該当する詩は見つからない。
■『日本農民詩史』上(松永伍一著 法政大学出版局 1975)により、島崎藤村の『落梅集』に収録されている詩であることが判明する。『藤村全集』第1巻(筑摩書房 1976)で確認をする。

【キーワード】
■詩■「労働雑詠」■島崎藤村■田の面に秋の風落ちて

【参考資料】
◆『日本農民詩史』上(松永伍一著 法政大学出版局 1975)
◆『藤村全集』第1巻(筑摩書房 1976)

【調査にあたって】
詩、和歌、俳句などの作者は?全文は?と聞かれるときは有名なものであることが、最も多いいと考えられる。そこで、まずは名歌辞典の類にあたってみましょう。*『日本秀歌秀句の辞典』(小学館 1995)万葉時代から現代までの、短歌・俳句・詩を解説しています。*『通解名歌辞典』(武田祐吉 吉田知雄共著 創拓社 1990)万葉集から近代歌人までの名歌を解釈、鑑賞しています。*『評解名句辞典』(麻生磯次 小高敏郎共著 創拓社 1990)芭蕉から近代俳人までの名句を解釈、鑑賞しています。*『日本名句集成』(飯田龍太ほか編 学灯社 1991)中世期の連歌の発句から現代までの名句の句意を明らかにし、鑑賞を施しています。巻末には、収載俳人の解説が収録されています。

作成日:2001/7/10