? 鼻呼吸で左右が入れかわるのは本当か。

【回答】

鼻腔の呼吸作用にはリズムがあり、これはネイザル・サイクルと呼ばれている。この呼吸のリズムは副交感神経を切ってもなくならないが、交感神経を切るとなくなる。また、咽頭を摘出した人にはおこらない。この呼吸のリズムはほとんどの正常者に見られ、生理的に3時間に1回くらいの割合で左右の鼻呼吸のリズムが交替する。このような呼吸の周期的変動の原因については、よくわかっていない。

【調査過程】
■自館システムで「コキユウ」を辞書(件名)検索。ヒットした資料『息のしかた』(春木豊,本間生夫共著 朝日新聞社 1996)や『なぜいきをするの?』(横森周信著 偕成社 1986)『たんけん!人のからだ』5(坂井建雄著 岩波書店 1999)等にあたるが、呼吸法や鼻の役割が記載されているのみであった。
■さらに、自館システムで「ハナ」「ハナコキュウ」を辞書(件名)検索するが未ヒット。
■『医科学大事典』(講談社 1982)、『医学大辞典』(南山堂 1963)等の辞典類で「鼻」「呼吸」の項目にあたるが、該当事項の記載はなかった。
■耳鼻咽喉科学の分類に属する図書にあたると、『鼻の話』(高橋良著 岩波書店 1979)に「鼻腔の呼吸作用にもリズムがある」という記載が見つかった。また、『日本人の鼻』(高橋良著 講談社 1980)にも鼻呼吸についての記載があり、鼻呼吸のリズムが周期的に交替することが判明した。

【キーワード】
■ネイザル・サイクル■鼻呼吸■呼吸

【参考資料】
◆『鼻の話』(高橋良著 岩波書店 1979)
◆『日本人の鼻』(高橋良著 講談社 1980)

【調査にあたって】
質問を受けるまでそういう事実があるとは全く知らなかった。しかし、「呼吸」に関する質問だったので、「呼吸」「呼吸器」というキーワードで調査していけば、簡単に判明するものと思っていたが、実際に調査を始めて見ると、この方法では手がかりが全くつかめなかった。「鼻」というキーワードに変更して調査したのが好結果を生んだ。一つの言葉からどれだけ多くの言葉を連想できるか、ということもレファレンスにあたる上で重要なことであると痛感した。

作成日:2000/12/15