? “ドングリの実を食べるとバカになる”というような内容で戦争中のことを書いた散文詩が、高校の教科書に掲載されていたが、その全文を知りたい。

【回答】

『蛇』(北川冬彦著 炉書房 1947)所収の「どんぐりの実」。山梨県立文学館所蔵。

【調査過程】
■『詩歌全集・作品名綜覧』下巻(青山毅編 日外アソシエーツ 1988)で「どんぐり」というタイトルの詩を探すと、「どんぐり」(北原白秋作)、「どんぐりころころ」(青木存義作)、「どんぐりの実」(北川冬彦作)などの詩があることがわかる。
■依頼者に「作者は北川冬彦ではないか」と尋ねると「そうかもしれない」との返事。
■先の資料によると、「どんぐりの実」は詩集『蛇』に所収、またこの詩は『現代詩全集』1巻、『日本の詩』18巻、『現代日本詩人全集』8巻、『日本詩人全集』などに収められていることがわかる。
■これらの資料について自館システムで書名検索するが、所蔵なし。
■自館システムで「キタガワ フユヒコ」を辞書(人名)検索すると、詩集では『日本の詩歌』25巻「北川冬彦・安西冬衛・北園克衛・春山行夫・竹中郁」がヒット。内容を確認するが「どんぐりの実」は掲載なし。
■山梨県立文学館に電話で『蛇』の所蔵の有無を確認。「所蔵している」との返事で、電話で「どんぐりの実」を読んでもらうとどうやらそれらしいので、依頼者に電話に出てもらう。探していたのはこの詩であることが判明。

【キーワード】
■「どんぐりの実」■北川冬彦■七才の息子が■詩

【参考資料】

【調査にあたって】
依頼者は40代くらいの男性で、「近くの図書館で調べてもらったがわからなかったので」と一生懸命な様子だった。「島木赤彦か島木健作の散文詩で「どんぐり」というタイトルだったと思うが……」とおっしゃっていたが、「島木赤彦」も「島木健作」も「?」という感じだったので、タイトルの「どんぐり」から探すことにした。『詩歌全集・作品名綜覧』(青山毅編 日外アソシエーツ 1988)は、詩のタイトル(作品名)からその詩が掲載されている図書を探すためのツール。『詩歌全集・作品名綜覧』に「北川冬彦」という名前が出てきたのでお聞きすると、「そうかもしれない」との返事。確信はなかったが、この詩を探すことにした。山梨県立文学館との電話で、詩の内容を聞いているうちに依頼者の顔が明るくなり、電話が終わると、「この詩です。ありがとうございます。今から行って来ます」と、その足で文学館に向かわれた。当館と同じ甲府市内にある山梨県立文学館(〒400-0065 山梨県甲府市貢川一丁目5-35 TEL.055-235-8080)は、文学(特に近代文学や、山梨県ゆかりの文学)について、いつも頼りになる専門機関である。残念なことに、著作権法により著作物のFAX送信(公衆送信)は認められていないので、当館でこの資料を提供することはできなかった。

作成日:1998/8/15