【回答】
【調査過程】
■『日本神話事典』(大和書房 1997)を引くと、「タヂマモリ説話」の項に、伝説の内容と、出典が「古事記」、「日本書紀」であることが記載。
■自館システムで「コジキ」、「ニホンショキ」をそれぞれ書名検索。『日本古典文学全集』1巻「古事記」(小学館 1973)の「垂仁天皇」の項や『日本古典文学大系』67巻「日本書紀」(岩波書店 1967)の「活目入彦五十狭茅天皇(いくめいりびこいさちのすめらみこと)垂仁天皇」の項に田道間守の伝説の記載あり。
■『童謡唱歌名曲全集』(名著出版 1989)の索引を見るが、田道間守の歌の掲載なし。また、その他の唱歌集にもなし。
■『日本教科書大系 近代編』25巻「唱歌」(海後宗臣編 講談社 1965)を見ていくと「第三期 国定教科書」の「初等科音楽」に唱歌「田道間守」の掲載あり。
【キーワード】
■「田道間守」■かおりも高いたちばなを■唱歌■歌詞
【参考資料】
◆『日本教科書大系 近代編』25巻「唱歌」(海後宗臣編 講談社 1965)
◆『日本神話事典』(大和書房 1997)
◆『日本古典文学全集』1巻「古事記」(小学館 1973)
◆『日本古典文学大系』67巻「日本書紀」(岩波書店 1967)
【調査にあたって】
田道間守の伝説については、「古事記」を読んで知っていたので簡単に回答することができたが、唱歌がなかなか見つけられなかった。『童謡唱歌名曲全集』(名著出版 1989)などの唱歌集で見つけられなかった時点で行き詰まってしまい、いったんお預かりし、後日回答することにした。インタビューの際依頼者は「この歌は奈良県に行ったとき、観光バスの中でバスガイドが歌ったもので、年輩の方は皆一緒に歌っていた」とおっしゃっていたので、この時点で「教科書」を思い浮かべるべきだった。その約2ヶ月後、年輩の女性が「昔の音楽の教科書を見せてください」とやって来て、『日本教科書大系 近代編』25巻「唱歌」(海後宗臣編 講談社 1965)を開き「あったわ、“田道間守”の歌」とおっしゃるので驚いた。お聞きすると、「子どもの頃学校で習い、泣きながら歌った思い出がある。今度同窓会があるので皆で歌おうと歌詞を確認しに来た」とのこと。自分がなかなか見つけられずに困っていただけに信じられないような気分だった。50何年か前には多くの人が知っていてあたり前だったことが、今ではその当時を知らない年代には調べることが困難になっているということに、改めて、情報や文化を蓄積し保存し、次世代に伝えていく図書館の使命・存在意義を痛感した。
作成日:1998/11/29
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