? 本に付いている「花布(はなぎれ)」の語源を知りたい。英語ではheadbandと言うが、フランス語、ドイツ語、イタリア語での呼び名が「花布」という日本語名と関係があるか。

【回答】

「花布」は、フランス語ではtranchefile、ドイツ語ではKapitalband、イタリア語ではcapitelloと言い、「花布」という日本語名との関係は見受けられない。「花布」は「端(はな)に付ける布」の意味。「端切れ」「端布」と書かれることもあるが、それでは風情がないと、「花」と書くようになったようだ。

【調査過程】
■『オールカラー・6か国語大図典』(ジャン=クロード・コルベイユ著 小学館 2004)の「製本」の項に、フランス語、ドイツ語、イタリア語等の表記があった。
■『日本国語大辞典』第10巻(小学館編集・発行 2001)の「はなぎれ(花布)」の項を見るが、語源等についての記述はなかった。
■『図書館用語集 三訂版』(日本図書館協会編集・発行 2003)の「はなぎれ」の項には、漢字表記として「花布・端布」とあるが、語源等についての記述はなかった。『最新図書館用語大辞典』(図書館用語辞典編集委員会編 柏書房 2004)の「花ぎれ」の項には、説明文末に「端(はな)に付ける布のこと」とあった。
■自館システムで件名「製本」を検索し、該当資料を調査したところ、『西洋の書物工房:ロゼッタ・ストーンからモロッコ革の本まで』(貴田庄著 芳賀書店 2000)に「端布は「はなぎれ」と読ませているが、この表記では風情がないので、花切れと書くようになったと思える」などの記述があった。

【キーワード】
■花布
■製本
■図書
■語源

【参考資料】
◆『最新図書館用語大辞典』(図書館用語辞典編集委員会編 柏書房 2004)
◆『西洋の書物工房:ロゼッタ・ストーンからモロッコ革の本まで』(貴田庄著 芳賀書店 2000)

【調査にあたって】
ハードカバーの洋装本の天を見ると、背の内側の部分に少しだけ布が見えるが、この布を「花布(はなぎれ)」という。以前は、英語のheadbandという語を翻訳した「頂帯」とか、「ヘドバン」などと言われていた。質問者は当初「花布」という名称が外国語から来ているのかと予想しており、英語やフランス語、イタリア語などを調べたがそれらしい単語ではなく、日本独自の呼び名のようだ。特殊な用語なので語源辞典の類には記載がないだろうと考え、製本に関する資料を調査した。

作成日:2011/7/1