? こうもりが都合の良い時は鳥だと言い、都合が悪くなったら自分はけものだからと言ってその場をうまくかわす話は何の話か、また、その趣旨を知りたい。(一般)

【回答】

『イソップ寓話集』2の「コウモリとイタチ」、『イソップ絵物語』の「こうもり」、『きょうのおはなしなあに』秋の「ひきょうなこうもり」等、訳者により題名に多少の違いはある。こうもりが状況に応じて鳥だと言ったり、けものだと言ったりして、結局どちらへも入れてもらえなかったというたとえと、状況の変化に合わせてそれにかなうようにする人たちは、危地を脱することができることもあるので、いつもおなじやり方にこだわってはいけない、という二つの解釈がある。

【調査過程】
■自館システムで「コウモリ」を単語検索し、本にあたると、『きょうのおはなしなあに』秋(ひかりのくに 1997)『小学館世界の名作』18(小学館 1999)等にあった。
■イソップの寓話であることが分かったので、当館所蔵のイソップ物語を検索し、本にあたってみると、『イソップ寓話集』2(イソップ著 小学館 1982)『イソップ』1(川端康成文 フレーベル館 1968)の中にこうもりについての寓話が出ており、その解釈も記載されている。
■イソップについては『児童文学事典』(日本児童文学学会編 東京書籍 1988)『オックスフォード世界児童文学百科』(ハンフリー・カーペンター,マリ・プリチャード共著 原書房 1999)『世界児童・青少年文学情報大事典』1(藤野幸雄編訳 勉誠出版 2000)に詳しく記載あり。

【キーワード】
■寓話■イソップ■こうもり

【参考資料】
◆『きょうのおはなしなあに』秋(ひかりのくに 1997)
◆『小学館世界の名作』18(小学館 1999)
◆『イソップ寓話集』2(イソップ著 小学館 1982)
◆『イソップ』1(川端康成文 フレーベル館 1968)

【調査にあたって】
イソップについての人物情報は諸説ある。紀元前620年にトレース(現在のギリシャとトルコの間で分割された地域)に生まれ、紀元前560年にギリシャのデルポイにて死去。サモスのイアドモンの奴隷だったが、主人により自由の身とされて、ギリシャ各地で物語を語り、リデイア王クロイソスの外交官となったという。『世界児童・青少年文学情報大事典』にはこう記されているが、実際には実在したかどうかも定かではない。また、実際は別の作者が作った話をイソップの作であるとする習慣ができあがった(『オックスフォード世界児童文学百科』等)という説までありとても興味深い。

作成日:2000/3/31