【回答】
【調査過程】
■「ルパン全集」は何種類か発行されているが、どの全集かを確認すると『怪盗ルパン全集』全30巻(モーリス・ルブラン著 南洋一郎訳 ポプラ社 1980)である。
■『怪盗ルパン全集』26巻「悪魔のダイヤ」の、訳者南洋一郎による「はじめに」を見ると「これはアルセーヌ=ルパンの原作」であると記述あり。
■『怪盗ルパン全集』27巻の「はじめに」には「……モーリス=ルブランののこしたメモが発見され、それをもとにして有名な新進推理作家が書いたもの……」との記述。28巻の「はじめに」には「フランスの新進推理作家、ボアローとナルスジャックが書いたもの」と記述。29巻の「はじめに」には「悪魔のダイヤ」(『怪盗ルパン全集』26巻)はフランスの推理作家ボアローとナルスジャックが原作者モーリス・ルブランの遺族の了解を得て発表したが、自分たちの名前の公表を望まなかったため、アルセーヌ・ルパン原作とした旨記述。また、30巻の「はじめに」には「モーリス=ルブランのメモをもとにして、ボアローとナルスジャックがまとめた」と記述あり。
■『世界作家事典』1巻「ミステリ・冒険・スパイ」(日外アソシエーツ 1998)を調べると「ボアロー=ナルスジャック」の項があり、「共同筆名:Pierre(Prosper) BOILEAUおよびThomas NARCEJAK」とあり。ルパンとの関わりについてはふれていない。
■『最新海外作家事典(新訂)』(Gale Research 1994)のボアローとナルスジャックについて調べると経歴等の記載あり。ルパンとの関わりについてはふれていない。
■さらに『世界ミステリー作家事典』(森英俊編著 国書刊行会 1998)で「ボアロー&ナルスジャック」の項を見ると、最後の行に「アルセーヌ・ルパン名義で出版された贋作ルパン物にも、パスティーシュの名手としてのナルスジャックの手腕が遺憾なく発揮されている」とあり。また「ボアロー&ナルスジャック(ルパン,アルセーヌ)」の作品リストあり。
【キーワード】
■アルセーヌ・ルパン■モーリス・ルブラン■ピエール・ボアロー■トーマ・ナルスジャック
【参考資料】
◆『怪盗ルパン全集』27・28・29巻(モーリス・ルブラン著 南洋一郎訳 ポプラ社 1984)
◆『世界ミステリー作家事典』(森英俊編著 国書刊行会 1998)
【調査にあたって】
ルパン全集は何種類か発行されているので、質問者が求めている全集について確認してから調査にあたったが、同じような書名が多く、またピエール・ボアローとトーマ・ナルスジャック二人の共同筆名で書かれており紛らわしかった。調査の段階で、フランス最大のサスペンス作家であり、作品が数々の映画になっていたり、日本にも多く紹介されていることがわかった。
作成日:2000/3/31
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